JAふくしま未来(福島市、数又清市組合長)では今、来年春に控える役員改選が密かな話題になっているという。
「注目は専務ポスト」
と話すのは同JAの関係者だ。
「専務は現在3人いるが、機構改革により次の改選で1人に減る見通しです」(同)
同JAは役員のあり方などを検討する諮問機関から、専務を1人に減らすことを提言されている。同JAは2016年にJA新ふくしま、JA伊達みらい、JAみちのく安達、JAそうまが合併し発足したが、旧JA間の均衡を保つため役員ポストを多く設けた経緯がある。
その最たる例が代表権のあるポストだ。「代表理事」の肩書きが付くのは組合長(1人)と専務(3人)の計4人だが、数又組合長=JA伊達みらい出身、三津間一八専務(総務担当)=JAみちのく安達出身、濱田賢次専務(金融共済担当)=JAそうま出身、佐久間英明専務(営農経済担当)=JA新ふくしま出身という具合に、旧JAごとに代表権を分け合っている。
しかし、次の改選で専務が3人から1人に減ったら、今まで保たれてきた均衡は崩れることになる。
合併から8年余り経ち、JAの経営環境が厳しさを増す中、組織のスリム化は喫緊の課題だ。前出・関係者によると「前回の改選時も専務を減らす話があったが、結局見送られた」そうだが、均衡という名のもとに複数設けられた役員ポストの見直しは必然だ。
もっとも、1人に減る専務ポストを前記・現職3氏が争う構図になるかというと、そうではないという。
「役員には70歳定年制が敷かれており、現在70歳の濱田氏と佐久間氏は次の改選で退くことが確定している」(前出・関係者)
そうなると残るのは三津間氏1人だが、「現在60代の三津間氏も定年前に専務を退く意向」(同)とされ、現職3氏の中から次の専務に就く可能性は低いというのだ。
さらにはこんな話も。
「現在60代の数又組合長も進退を明言していないため、仮に退くとなった場合、代表権を持つ4人が一斉にいなくなる可能性もある」(同JA内部の人物)
ということで、代表権のあるポストに誰が就くのか俄然注目が集まっているわけ。
ここに来て、同JA内からは某幹部の悪評が漏れ伝わっている。この幹部は、仕事はできるが悪評を理由に、来年春の役員改選で処遇すべきではないという声がある。念のため本誌も幹部に確認したが、悪評を明確に否定し「それが事実なら(JAを)すぐに辞める」と言明した。
巨大組織であるJAにおいて、役員ポストは垂涎の的だ。それだけに改選期が近付くと、本誌編集部には各JAの様々な情報が届く。特定の人物を蹴落としたい、自分が少しでも良いポストに就きたい、旧JA間の勢力争い――等々、寄せられる情報からは、組織内でいろいろな思惑が渦巻き、策略をめぐらせていることが見て取れる。
とりわけ同JAは、経営に苦労するJAが少なくない中で優良経営を続けており、2024年2月期決算も事業収益261億9000万円、経常利益12億5400万円、当期余剰金(利益)11億0700万円を計上している。
優良JAだけにポスト争いは過熱するし、それに付随して、今回のような幹部の悪評も広まりやすいのだろう。