4月24日付の福島民報に、JAふくしま未来(福島市)の次期組合長に関する記事が掲載された。
《任期満了に伴うJAふくしま未来の役員改選で、次期組合長は三津間一八専務(69)を軸に選考が進む見通しとなった。5月下旬に開かれる総代会後の理事会で正式決定する。
23日に開かれた役員予定者会議で、三津間氏を推す声が数又清市組合長(69)を上回った》

三津間氏は二本松市出身。安達東(現二本松実)高卒。2019年5月から専務を務めている。
同JAの次期組合長をめぐっては本誌4月号「今月のわだい」で次のように書いている。
▽組合長選挙には3選を目指す数又組合長のほか、三津間専務、髙木正勝そうま地区代表の計3人が立候補を検討している。
▽異例の三つ巴になるかもしれない背景には、旧JA伊達みらい出身の数又組合長が、新役員人事で四つある常務理事ポストに2人、二つある常任幹事ポストに1人、同JA出身者を据えたことが影響している。しかも、この3人は住所まで数又組合長と同じ伊達市梁川町だった。
▽JAふくしま未来はJA新ふくしま、JA伊達みらい、JAみちのく安達、JAそうまが合併した経緯を踏まえ、各地区から役員代表と計40人の理事が選出されている。それぞれ旧JAの看板を背負っているだけに、地域バランスを気にする役員は少なくない。
その後、高木氏が立候補を取りやめたため、組合長選挙は数又氏と三津間氏の一騎打ちになった。地元紙は触れていないが、理事ら48人による投票結果は三津間氏27票、数又氏21票だった。
同JA関係者はこう話す。
「今まで三つあった代表権付きの専務ポストは今期から一つに減る。これにより旧JA間の地域バランスが崩れるのに、数又氏は常務理事に2人、常任幹事に1人、自分と同じ旧JA伊達みらい出身で伊達市梁川町在住の人を据えた。これでは他の旧JA出身者たちが腹を立てるのも無理ない」(同)
そうした事情に加えて「三津間氏の選挙運動が功を奏した」と指摘するのは某幹部である。
「一つは、高木氏と共闘したことです。三つ巴だったら三津間氏に勝ち目はなかったが、高木氏が立候補を取りやめ、三津間氏に協力したことで票の分散を防いだ。組合長になった三津間氏が専務に高木氏を据えたのは、論功行賞人事そのものでしょう。もう一つは、三津間氏が各理事に熱心に〝アプローチ〟したことです。地区別で言うとJA伊達みらい出身の理事が数又氏、JAみちのく安達出身の理事が三津間氏を推すのは当然として、JAそうま出身の理事は三津間氏、JA新ふくしま出身の理事は三津間氏と数又氏に割れたようです」
近年の組合長は「職員上がり」が就くケースがほとんどだが、三津間氏は今時珍しい「農家出身者」である。そのため、組合長選挙の前から三津間氏の組織マネジメント力に疑問を持つ理事は少なくなく「おそらく財務諸表などは細かいところまで読めないでしょうね。そういう組合長で大丈夫かという心配は当然つきまとう」(前出・同JA関係者)。
ただ、三津間氏に聞くと「自分が優秀な人間でないことは自覚している」とした上で、次のように話す。
「組合長になったからといって偉ぶるつもりはないが、農家出身者だからこそ見える部分もあると思います。優秀な役職員の知恵を借りながら、農家の気持ちに寄り添った組織運営を心掛けたい」(三津間氏)
東日本屈指の優良組織とも言われる同JAを、新組合長がどのように率いていくのか注目である。