本誌2月号に「石川郡5町村長の『表と裏』の関係」という記事を掲載した。
石川郡の首長は年明け、そろって県庁や新聞社などを訪問し、その様子が地元紙に掲載される。一見横のつながりが強い印象を受けるが、首長同士の仲がいいわけではないという。その輪を乱しているのが石川町の塩田金次郎町長で、そのほかの町村長との関係性が悪いため、いま一つ一体感が生まれないようだ。
記事ではこうした事実に触れたうえで、郡内の役場関係者の「塩田石川町長とそのほかの町村長の関係性があまり良くないみたいですね。石川町は人口規模などからしても、郡の中心的存在ですが、そこのトップ(塩田町長)が郡内でリーダーシップを発揮できないような状況なのは、地域にとって決してプラスではありませんね」というコメントを紹介。さらに「JR水郡線の利用促進や県立石川高校の存続など広域的に連携して対応すべき課題を抱えている中で、いまの状況は好ましいと思えない」という石川町民の声も掲載した。
そうしたところ、3月11日に行われた石川町議会3月定例会の一般質問で、塩田町長が記事について触れるシーンがあった。
角田保寿町議(1期)が「月刊『政経東北』に塩田町長と石川郡内の首長との関係が良くないと書かれていた。私も同様の話を聞いているし、実際孤立しているように見えるがどう受け止めるか」と質問した。
それに対し塩田町長は次のように答弁した。
「月刊雑誌というのはオーバーに書く。あの月刊雑誌は町村会の会議に1回も取材に来たことがありませんし、そのように書かれることは私としても不本意です。町村会の会議ではいろいろなこともあるが、お互いに協力して取り組んでおり、違和感を抱いたりけんか腰で話したこともありません。石川郡5町村まとまっていこうということで、元旦早々から県の出先機関などを回っているし、責められることはないと私は思っている。それではいい仕事はできませんから。週刊誌(※正確には月刊誌)というのは面白おかしく書くのが仕事ですから。いま(石川郡5町村が)連携して協力してしっかりやっており、ご心配はないと思っているのでよろしくお願いします」
月刊雑誌は取材しないで面白おかしく書くのが仕事で、記事内容はオーバーに書かれているが、実際には石川郡5町村で協力・連携して動いている、と主張したわけ。
もっとも、同記事に関しては掲載後、複数の石川郡内の町村議員から「あの記事は事実だ」との感想をいただいている。過去には石川郡5町村の幹部から塩田町長に対する〝愚痴〟を聞いたこともあるので、オーバーな内容ではないのだが……。
「5町村で歩調を合わせて行動しようと話していたのに塩田町長が単独行動したこともあった。石川地方町村会長を決める際には、順当にいけば古殿町の岡部光徳町長で決まりなのに、塩田町長が立候補しようとして、周囲が唖然とした、という逸話もある」(石川郡内の事情通)
本人に面と向かって意見を言う人は少ない。なぜそのような声が本誌にまで届いてきたのか、塩田町長はその意味を真摯に受け止め、自身の言動を改めるべきではないか。
答弁を受けて角田町議は「町長から頼もしいお話を聞けた。その言葉を信用します。もし同じような状況が続いていると判断した場合はあらためて質問させていただきます」と述べて、次の質問に移った。
角田町議が同じ質問をする日はいつになるか。石川町民や石川郡内の複数の議員の話を聞いていると、意外とすぐかもしれない。