子どもより教職員が多い大熊町の新教育施設【学び舎ゆめの森】

子どもより教職員が多い大熊町の新教育施設【学び舎ゆめの森】

 4月10日、大熊町の教育施設「学び舎(や)ゆめの森」が町内に開校した。義務教育学校と認定こども園が一体となった施設で、0~15歳の子どもたち26人が通う。

 同日、同町大川原地区の交流施設「link(リンク)る大熊」で、入学式・始業式を兼ねた「始まりの式」が行われた。入場時には近くにある町役場の職員や町民約200人が広場に集まって子どもたちを出迎え、拍手で歓迎した。

 吉田淳町長は「原発事故で厳しい状況になったが、会津若松市に避難しながら、途絶えることなく大熊町の教育を継続し、町内で教育施設を再開できるまでになった。少人数で学ぶ環境・メリットを生かし、学びの充実に取り組む」と式辞を述べた。

 南郷市兵校長は「大熊から全国に先駆けた新たな学校教育に挑戦していく。一人ひとりの好奇心が枝を伸ばせば、夢の花を咲かせる大樹となる。ここからみんなの物語を生み出していきましょう」とあいさつした。

 同町の学校は原発事故後、会津若松市で教育活動を続け、昨年4月には小中学校が一体となった義務教育学校「学び舎ゆめの森」が同市で先行して開校していた。大川原地区では事業費約45億円の新校舎が建設されているが、資材不足の影響で工期が遅れ、利用は2学期からにずれ込む見通し。それまでは「link(リンク)る大熊」など公共施設を間借りして授業を行う。なお、周辺の空間線量を測定したところ、0・1マイクロシーベルトを下回っていた。

 なぜ子どもたちを同町の学校に入れようと考えたのが。保護者らに話を聞いてみると、「自分が大熊町出身で、子どもたちも大熊町で育てたいという気持ちがあった。仕事を辞めて家族で引っ越しした」という意見が聞かれた。その一方で、「出身は別のまちだが、仕事の関係で大熊町の職場に配属され、せっかくなので、子どもと一緒に転居することにした」という人もいた。

 今後、廃炉作業が進み、浪江町の国際研究教育機構の活動が本格化していけば、人の動きが活発になることが予想される。そうした中で、同校があることは、同町に住む理由の一つになるかもしれない。同校教職員によると、会津若松市に義務教育学校があったときよりも児童・生徒数は増え、入学・転校の問い合わせも寄せられているという。

 それぞれの保護者の決断は尊重したいが、「原発被災地の復興まちづくり」という視点でいうと、廃炉原発と中間貯蔵施設があるまちに、新たに事業費45億円をかけて新校舎を建てる必要があるとは思えない。

 避難指示解除基準の空間線量3・8マイクロシーベルト毎時を下回っているものの、線量が高止まりとなっている場所も少なからずあり、住民帰還を疑問視する声もある。新聞やテレビは教育施設開校を一様に明るいトーンで報じていたが、こうした面にも目を向けるべきだ。

 式の終わりに子どもたちと教職員が並んで記念写真を撮影したところ、子どもより教職員の人数の方が明らかに多かった(義務教育学校・認定こども園合計37人)。これが同町の現実ということだろう。

壇上に並ぶ「学び舎ゆめの森」の教職員
壇上に並ぶ「学び舎ゆめの森」の教職員

 県教育庁義務教育課に確認したところ、「義務教育学校には小中の教員がいるのに加え、原発被災地12市町村には復興推進の目的で加配しているので、通常より多くなっていると思われる」とのことだった。

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