【原町商工会議所】高橋隆助会頭インタビュー

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 たかはし・りゅうすけ 1951年生まれ。原町高、拓殖大卒。㈱高良代表取締役。原町商工会議所副会頭を経て2010年11月から現職。現在5期目。

 2022年度は全国の商工会議所の一斉改選があり、原町商工会議所は高橋隆助会頭の続投が決まった。高橋会頭は5期目に入り、この間、震災・原発事故や新型コロナウイルス感染症など、厳しい環境の中で地元経済の舵取り役を担ってきた。再任間もない高橋会頭に管内の状況や課題、今後の抱負などを聞いた。

 ――5期目に入りました。

 「皆さま方からのご推挙により会頭に選任され、誠に身の引き締まる思いであり、引き続き誠心誠意努力する覚悟を新たにしています。2010(平成22)年11月に会頭に就任してから、これまでの4期12年間は、東日本大震災による地震・津波・原発事故といった未曾有の被害や近年の台風・大雨、福島県沖地震と、自然災害が重なりました。さらには新型コロナウイルス感染拡大防止対策としての経済活動の規制や自粛は経済人にとっては翼をもがれた鳥のようでした。また、ロシアによるウクライナ侵攻に起因した経済問題も深刻化しています。

 当面の課題が3つ挙げられます。1つはALPS処理水の処分や進まない住民帰還等の復旧・振興に直結する課題。2つはコロナ禍の中で、いかに経済を維持していくのか。3つはロシア、ウクライナ両国の日本経済に与える影響が、企業をはじめ、食料品・生活用品の値上げなど家庭にまで押し寄せていること。この様々な状況下にある原町区内の事業所は経営を続けることさえ困難な状況に陥っています。こうした点を踏まえ11月1日から始まった5期目の3年間は、商工会議所が果たすべき役割などを念頭に次の3つを基本方針にしたいと思っています。

 1つ目は東日本大震災からの復旧・復興です。任期3年間は国の第2期復興・創生期間の残り3年度と時期が重なっています。この期間は人と人、商工業者と商工業者のつながりや、会員事業所が希望や生きがいを持って前を向いていくことができる地域経済環境の整備に取り組み、次の世代の人たちが安心して経済活動ができる地域経済環境の整備に取り組んでいきます。そのためには福島イノベーション・コースト構想を活用して産業交流事業を促進し、新たな取り引きを図りたいと思います。

 2つ目は相談業務、事業所支援の充実です。国は9月に『withコロナに向けた政策の考え方』を決定し、ウィズコロナの新たな段階に移行しました。全数届出の見直しなど保健医療体制の強化を進めていくことになりましたが、コロナに関する収束が宣言されていない現在においては、感染症対策は継続する必要があると感じます。また、ロシアによるウクライナ侵攻は世界の経済成長にも大きな影響を与えているばかりでなく、地域事業所の経営にまで影響が及んでいます。この課題に対応するため、会員事業所、地域の商工業者に対して相手の立場に立ち、ていねいな仕事を心掛けながら伴走型支援を実施していくことが重要です。また、より高度な専門的見地を必要とする場合は、ハンズオン支援につなげていきます。同時に会員事業所の意見を集約して要望活動などを行っていきます。

 3つ目は関係機関との連携強化です。日本商工会議所をはじめ全国515商工会議所、東北商工会議所連合会との連携をより強化していきます。また、県や市との協力関係も重要ですから、推進していきたいと考えています」

 ――新型コロナの影響について。

 「一向に収束しない感染者数や落ち込んだ経済活動により、商工業者は大きな損害が出ています。今後いかに経済活動をしていくか、難しい課題を抱えたままとなっています」

 ――円安や物価高、燃料費高騰も深刻な問題です。

 「ロシアによるウクライナ侵攻は深刻な人道危機を招いているだけではなく、各国の経済成長に大きな影響をもたらしています。両国は一次生産のサプライヤーで、世界全体で小麦が約30%。トウモロコシや無機質肥料、天然ガスが約20%。石油が約11%を両国で占めています。また、半導体の製造に使用されるアルゴン(不活性ガス)、航空機に用いられるスポンジチタンの一大生産国でウランの資源量も高い。加えて金属輸出も重要な役割を担っています。これら一次生産品の価格はロシアのウクライナ侵攻以降、急速に上昇しており、世界経済の成長を鈍化させてインフレ圧力を高めています。侵攻以前はほとんどの国で新型コロナからの回復傾向にありましたが、侵攻によって2022年1年間で世界の経済成長率は1%以上押し下げられインフレ率も2・5%上昇すると試算されています。日本を含めたアジア太平洋地域の先進国やアメリカは欧州地域に比べてロシアとの貿易・投資関係は弱いものの、国際的な需要低下と物価上昇は、企業をはじめ家計まで深刻な影響を与えています」

復興関連施設の影響

 ――2022年は3年振りに相馬野馬追が通常開催されました。
 

 「ウィズコロナの新たな段階に移行し、保健医療体制の強化を進めていくことになりましたが、収束が宣言されておらず、第8波が迫る中、従来通りの感染対策の必要性を感じています。一方で、経済活動の停止・自粛等は経営者の活力を大きく減衰させ、非常に苦しくもどかしいものでした。コロナ禍で中止されたイベント等の復活は経済を回していくためには重要です。しかし、いまの状況下では、自分が感染しない、人にも感染させないという意識が重要だとあらためて感じています」

 ――福島ロボットテストフィールドなどの復興関連施設が地域経済に与える影響について。

 「先ほども述べたように、5期目の任期は国の第2期復興・創生期間と重なっています。この期間は人と人、商工業者と商工業者のつながりや会員事業所が希望や生きがいを持って前を向いていくことができる地域経済環境の整備に取り組んでいきます。10月には当商工会議所役員議員と進出企業の交流会を行いました。出席頂いた6社の進出企業紹介の後、短い時間でしたが交流会を行いました。その後、アンケート調査を行ったところ、今後の取り引きにつながる可能性として『感じられた』『やや感じられた』を合わせると80%超でした。また、交流会の満足度も高く、このような交流会は今回が初めてで、感染対策による制限もありましたが、積極的にそういった機会を設けることの重要性を再認識することができました。今後も福島イノベーション・コースト構想を活用して産業交流事業を促進し、新たな取り引きにつなげたいと思っています」

 ――今後の抱負を。

 「伴走型支援を実践し、会員事業所が安心して経済活動ができる環境づくりに力を尽くしていきたいと思います」

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