【梁川・バイオマス計画】住民の「募金活動」に圧力!?

梁川・バイオマス計画住民の「募金活動」に圧力!?

 伊達市梁川町のやながわ工業団地で建設が進められているバイオマス発電所をめぐっては、市民団体「梁川地域市民のくらしと命を守る会」(名谷勝男代表)が反対運動を展開していることは本誌既報の通り。8月号では「傍観する市が果たすべき役割」として▽住民に寄り添う姿勢を明確にすること、▽住民と事業者の仲介役を務めること、と書いた。

 しかし、住民が「なぜ市は事業者側に立つのか」と反発し、市が「法律に基づいて許可・容認しているだけ」と押し問答を繰り返している間にも、事業者の㈱ログ(群馬県太田市)は粛々と工事を進めている。来年秋には試運転が始まる予定だが、現状では、ログが話し合いで計画を止める気配は感じられない。

 「このままでは事態は何も変わらない」と考えた守る会は、ログに法的手段を講じることを決めた。

 守る会事務局の引地勲氏は次のように話す。

 「真っ先に思い浮かぶのは工事差し止め請求ですが、具体的な方針は決まっていません。現在、弁護士や環境問題に詳しい専門家と、法的にどういう対抗策が考えられるか検討しているところです」

 とはいえ、裁判を起こすにはお金が必要だが、2021年3月の結成以来、手弁当で運営してきた守る会に裁判費用を負担する余裕はない。そこで守る会は、当面の活動資金と裁判費用を捻出するため、広く募金を呼びかけることにした。

 「これまでボランティアでやってきましたが、活動が長期化するにつれてお金の問題に直面することが増えてきたため、多くの方から浄財を寄せていただくしかないという結論に至りました」(同)

 募金活動は当初、守る会だけでなく、地元の伊達市商工会、やながわ工業団地内の企業で組織するヤナガワテクノパーク会、農事組合法人も協力することを表明し、4団体連名で募金趣意書を作成することになっていた。ところが、募金趣意書案ができた段階で、伊達市商工会とヤナガワテクノパーク会から突然「名前を連ねるのが難しくなった」と告げられたという。

 「両者ともはっきりは言わなかったが、どうやら市から『裁判を前提とする募金活動に協力するのはいかがなものか』というニュアンスの話をされたようなのです」(同)

 要するに、市から〝圧力〟をかけられ、募金活動に協力できなくなったというのだ。

 「両者とも、本音では協力したいと思っているので、その気持ちだけで十分です。実際、募金活動には協力できなくても、募金はしてくれましたから」(同)

 一方、農事組合法人に対しても、守る会と募金活動について協議したその日の夜に、地元JAの幹部が農事組合長の家を訪ね、夜中まで「なぜ協力するのか」と詰め寄ったという。

 「そういうやり方に激怒した農事組合長は翌日、JAに農事組合長の辞表を提出しました。農事組合長の言い分は『農事組合法人として、地元農家のためにバイオマス発電所に反対して何が悪いのか』というものでした」(同)

 これを受け、募金趣意書は4団体連名ではなくなったものの、梁川町内会長連絡協議会の協力を得ながら9月下旬に梁川町内全域に配布したという。市内他地域での配布は「現時点ではできていない」(同)とのことだが、守る会では11月いっぱいまで募金活動を続ける予定だ。

 法的手段の見通しは立っていないが、協力者の思わぬ離脱は、かえって募金活動のモチベーションを高める結果につながっているようだ。

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