田村バイオマス訴訟の控訴審が結審

完成した田村バイオマス発電所

 本誌昨年2月号に「棄却された田村バイオマス住民訴訟 控訴審、裁判外で『訴え』続ける住民団体」という記事を掲載した。田村市大越町に建設されたバイオマス発電所に関連して、周辺の住民グループが起こした住民訴訟で昨年1月25日に地裁判決が言い渡され、住民側の請求が棄却されたことなどを伝えたもの。

 その後、住民グループは昨年2月4日付で控訴し、6月17日には1回目の控訴審口頭弁論が行われた。裁判での住民側の主張は「事業者はバグフィルターとHEPAフィルターの二重の安全対策を講じると説明しており、それに基づいて市は補助金を支出している。しかし、安全確保の面でのHEPAフィルター設置には疑問があり、市の補助金支出は不当」というものだが、原告側からすると「一審ではそれらが十分に検証されなかった」との思いが強い。

 ただ、二審では少し様子が違ったようだ。

 「一審では、実地検証や本田仁一市長(当時)の証人喚問を求めたが、いずれも却下された。バグフィルターとHEPAフィルターがきちんと機能しているかを確認するため、詳細な設計図を出してほしいと言っても、市側は守秘義務がある等々で出さなかった。フィルター交換のチェック手順などの基礎資料も示されなかった。結局、二重のフィルターが本当に機能しているのか分からずじまいで、HEPAフィルターに至っては、本当に付いているのかも確認できなかった。にもかかわらず、判決では『安全対策は機能している』として、請求が棄却された。ただ、控訴審では、裁判長が『HEPAフィルターの内容がはっきりしない。具体的資料を出すように』と要求した」(住民グループ関係者)

 そのため、住民グループは「二審では、その辺を明らかにしてくれそうで、今後に期待が持てた」と話していた。

 その後、8月26日に2回目、11月18日に3回目の口頭弁論が開かれた。3回目の口頭弁論で、同期日までに提出された書類を確認した後、裁判長は「これまでに提出された資料から、この事件の判決を書くことが可能だと思う。控訴人から出されている証人尋問申請、検証申立、文書提出命令申立、調査嘱託申立は、必要がないと考えるので却下する。本日で結審する」と宣言した。

 原告(住民グループ)の関係者はこう話す。

 「被告はわれわれの様々な指摘に『否認する』と主張するだけで、何ら具体的な説明をせず、データや資料なども出さなかった。論点ずらしに終始し、二審でようやく資料のようなものが出てきたが、それだってツッコミどころ満載で、最終的には『HEPAフィルターは安心のために設置したもので、集塵率などのデータは存在しない』と居直った。裁判長は、これまでの経過から、事業者が設置したとされるHEPAフィルターが、その機能、性能を保証できない『偽物』『お飾り』であると分かったうえで結審を宣言したのか。それとも、一応、原告側の言い分を聞いてきちんと審理したとのポーズを取っただけなのか」

 当初は、「一審と違い、HEPAフィルターの効果などをきちんと審理してくれそうでよかった」と語っていた住民グループ関係者だが、結局、証人尋問や現地実証は認められず、最大のポイントだった「HEPAフィルターの効果」についても十分な審理がなされたとは言い難いまま結審を迎えた。このため、原告側は不満を募らせているようだ。

 判決の言い渡しは、2月14日に行われることが決まり、まずはそれを待ちたい。

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