本誌昨年12月号に「本宮市『コストコ進出説』を追う」という記事を掲載した。
東北自動車道本宮インターチェンジ(IC)東側、国道4号に面している農地に、大型商業施設・コストコの進出がウワサされている。
コストコは米国発の会員制小売チェーンで、巨大な倉庫型店舗が特徴。国内では36店舗を出店している。商品はどれもビッグサイズで、食品スーパーより価格がかなり安く設定されているため、家族連れなどに人気を集める。オープンの際には周辺が大渋滞したとしてニュースで取り上げられるほどだ。
福島県内には店舗がなく、山形県上山市や宮城県富谷市の店舗まで出かける人が多い。話題性と集客力が抜群なことから、須賀川市や郡山市などで「あの広大な空き地にコストコが出店するらしい」とウワサになったが、結局実現しなかった。
そうした中でかなり具体的に話が進んでいるとみられるのが本宮市だ。地権者に代わり、市が窓口になって企業と交渉しており、高松義行市長も議会答弁やインタビューで、同地に〝大型商業施設〟を誘致すべく交渉していることを明かしている。ただし、正式に契約するまで企業名を出さないのが条件になっているとのことで、高松市長も市議も一切名前を口にしていない。だが、市民レベルでは「コストコが本宮にできるらしい」という話が知れ渡っている。
ただ、ここ2、3年動きがないのに加え、建築資材の高騰、競合店の出店など、外部環境が大きく変化しているため、「コストコはすでに出店を断念したのではないか」ともウワサされている。
記事ではこうした経緯を紹介したうえで、「お名前を明かすことはできませんが、企業と交渉を継続しています」という市商工観光課のコメントや、「取材のご協力は控えさせていただきます」というコストコ運営会社のコメントを掲載した。
結局、コストコが出店するかどうかは分からなかったが、気になったのは〝大型商業施設〟誘致に伴い、市が農地周辺の市道を約19億円かけて整備しようとしていることだ。今年度から一部市道の改良工事に着手しており、今後は誘致の進捗状況を見ながら本宮IC前交差点の車線増加や大型商業施設付近の道路整備を進めていく。肝心の大型商業施設の動きが見えない中、道路整備が着々と進みつつある状況なのだ。
12月号記事では、地権者が大型商業施設に加え、ホテルルートインとセブンイレブンが進出する予定であることも明かしていた。だが、12月6日に行われた本宮市議会12月定例会の一般質問で、市産業部長が「ビジネスホテルについては能登半島地震の影響で停滞している中で物価高、建築資材高騰、人手不足の影響を受けて、立地の決定には至っていない。コンビニエンスストアについては市の方で関わっていない。大型商業施設については協議を継続中だが、建設単価の動向などにより決定に至っていない」と答弁した。
なお、ホテルルートインに関しては12月号発売後、読者から「予定地の地主さんが亡くなり、数年間は土地を動かせなくなり、いったん保留になったようだと地元の知人が話していた」という情報も寄せられた。
要するに、大型商業施設どころか、ホテルの誘致計画に関してもまだまだ本決まりではなく、これから変更になる可能性もあるわけ。
にもかかわらず、約19億円かけて道路整備を進めることに、一部市議からは疑問の声が上がっている。何とも危うい感じが漂うが、意中の大型商業施設を誘致できるのか。高松市長にとって正念場となりそうだ。