無投票、投票率過去最低が多い福島県内議員選挙

無投票、投票率過去最低が多い福島県内議員選挙

 今年は3月までに14町村で議員選挙が行われた(別表参照)。

3月までに行われた県内の議員選挙

市町村告示日投票日選挙の有無
小野町1月16日1月21日無投票(※)
猪苗代町2月13日2月18日選挙戦(64・31%)
富岡町3月14日3月24日選挙戦(40・53%)
天栄村3月19日3月24日選挙戦(71・96%)
柳津町3月19日3月24日無投票
矢吹町3月19日3月24日選挙戦(52・90%)
矢祭町3月19日3月24日無投票
塙町3月19日3月24日選挙戦(76・44%)
玉川村3月19日3月24日選挙戦(72・47%)
平田村3月19日3月24日選挙戦(78・92%)
古殿町3月19日3月24日選挙戦(79・92%)
下郷町3月19日3月24日無投票
会津坂下町3月19日3月24日選挙戦(57・57%)
只見町3月19日3月24日無投票
選挙戦になった町村のカッコ内の数字は投票率


 このうち、選挙戦になったのは9町村で、5町村は無投票。実に、3分の1以上が無投票だった。さらに、表に※で示した小野町は、定数12に現職8、新人3の計11人が立候補し、定数に満たない「定数割れ」となった。この件については本誌2月号「小野町議選『定数割れ』の背景 無関心を招いた議会の責任」という記事で詳細リポートしたので、そちらを読んでほしい。

 これだけ無投票が多いことをどう見るか。

 公益財団法人・明るい選挙推進協会が昨年4月の統一地方選後に実施した「第20回統一地方選挙全国意識調査」(今年3月公表)によると、無投票の割合は14・3%で、前回の統一地方選12・4%と比較して、1・9ポイント増加したという。

 同調査では全国の有権者3150人を対象にアンケート調査を行っており、その中で、無投票についての設問項目もあった。

 ただし、このアンケートは福島県に住む有権者は対象に含まれていない。福島県は3回前の統一地方選(2011年4月)の直前に、東日本大震災・原発事故が起こり、本来は統一地方選挙で首長・議員選挙が行われるはずだったところも、特例で任期を伸ばした。それにより、統一地方選で選挙が行われた事例が少ないことが要因と思われる。ほかにも、同様の事情と思われる理由で、対象になっていない県もある。

 このため、同調査結果は全国的な傾向になるということを踏まえてほしいが、県内の有権者と考え方に大差はないだろう。

 無投票に関する設問の答えは、「投票なしで決まるのはおかしい」が32・4%、「無投票になっても仕方がない」が39・6%、「無投票でもよい」が9・9%、「その他・分からない」が18・2%だった。「無投票になっても仕方がない」と「無投票でもよい」を合わせると49・5%になり、半数近くが肯定的な捉え方をしていることになる。

 一方、選挙戦になった9町村のうち、猪苗代町、富岡町、天栄村、矢吹町、玉川村、平田村、古殿町、会津坂下町の8町村で投票率が過去最低だった(補選などは除く)。塙町も、前回を4ポイント超下回り、2000年以降では最低。

 こうした結果を見ると、住民に関心を持たれなくなっている、ということに尽きるのではないか。当然、投票に行かない人は、議員(議会)に興味を持つことはないだろうし、そうなると議員を目指そうということにもならない。こういう状況を引き起こした責任は議員(議会)にもあるだろうし、選挙制度にもあると感じる。

関連記事

  1. 三春町議会で任期満了1日前に辞職勧告

    三春町議会で任期満了1日前に辞職勧告

  2. 大混戦 現職が脅かされる【いわき市議選】

  3. 【国見町】町長選で現職が演説動画撮影拒否

    【国見町】町長選で現職が演説動画撮影拒否

  4. 追悼【根本良一】元矢祭町長の足跡と功績

  5. 白河市複合施設「入札不調」で事業費高騰を懸念する声

    白河市複合施設「入札不調」で事業費高騰を懸念する声

  6. 【須賀川】無風ムードを一変させた橋本市長不出馬表明

    【須賀川】無風ムードを一変させた橋本市長不出馬表明

  7. 事業費増大が止まらない福島駅前拠点施設

    事業費増大が止まらない福島駅前拠点施設

  8. 【二本松市】パワハラ部長「突然の退職劇」

    【二本松市】パワハラ部長「突然の退職劇」

人気記事

  1. 政経東北【2025年8月号】
  2. 手厚すぎる公務員「病気休暇制度」
  3. 丸峰観光ホテル社長の呆れた経営感覚【会津若松市】
  4. 本宮市「コストコ進出説」を追う 地図
  5. 東山・芦ノ牧温泉を悩ます廃墟ホテル【会津若松】
  6. 各地の選挙に出続ける髙橋翔氏の素顔
  7. 【和久田麻由子】NHK女子アナの結婚相手は会津出身・箱根ランナー【猪俣英希】
  8. 郡山市フェスタ建て替えで膨らむシネコン待望論

最近の記事

  1. 県商工信組「須佐一極体制」の弊害 福島県商工信組(けんしん)「須佐一極体制」の弊害
  2. いわき信組「顧客口座偽造」の衝撃 いわき信組「顧客口座偽造」の衝撃
  3. 会津若松「夜の街」リポート 会津若松「夜の街」リポート
  4. 会津豪雪「農業被害」の実態 会津豪雪「農業被害」の実態
  5. 【田村市】大越郵便局配達員が届け先で立小便 【田村市】大越郵便局配達員が届け先で立小便
PAGE TOP