ほし・まなぶ 1947年1月生まれ。日本大学東北工業高校(現日本大学東北高校)卒。下郷町建設課長、助役、副町長などを経て、2013年9月の町長選で初当選を果たした。現在3期目。
──3期目の任期も残り1年を切りましたが、この間を振り返って。
「町政執行に当たり続けて12年目を迎え、政策の実現については必ずしも数字や割合でお示しできるものではありませんが、それぞれの項目については着実に前進しその成果が表れているものと考えています。
子育てや子どもへの負担を減らすため、町独自の取り組みとして、2歳以上からの保育料無償化、保育所の給食に係る費用等も全額町負担とし、子育て世代への負担軽減を図っています。子どもが生まれた方に支給する『子宝祝金』も2023年度から第1子10万円、第2子20万円、第3子以上30万円と拡充いたしました。児童及び生徒の保護者に対して実施している入学祝金の支給や学校給食費の無償化についても継続して実施しています。遠距離等児童・生徒通学費補助金も、22年度から毎年補助金の拡充を図り、保護者の負担軽減に努めています。
今後も国や県などの子育て支援策とタイアップしつつ、子育て世代の支援に注力していきます。
移住・定住の推進の支援については、21年度から結婚新生活支援事業、22年度からは結婚祝金の支給を開始しており、新婚夫婦の経済的な負担軽減を図っています。高齢者の生活しやすい定住環境の整備も進めており、高齢者のタクシー助成事業や除雪支援事業、商工会ポイントカード事業、企業支援事業、農業担い手支援事業、各種道路網の整備促進などさまざまな事業を実施しています。
いずれの事業も、町民の方々が今後も下郷町に住み続けたいと思っていただけるよう実施しているものであり、重要な定住対策であると考えています。移住に特化した事業として、空き家バンク事業、下郷町移住支援金制度、下郷町住宅取得支援事業などを実施しており、全国的に人口減少が進む中、積極的に本町への移住者を受け入れる環境整備を進めているところです」
──昨年7月の大内宿半夏まつりでは海外からの観光客も多くみられましたが、今後のインバウンド向けの施策や観光振興策について教えてください。
「町全体の24年度観光客入込数は約165・6万人、前年比113%でした。そのうち大内宿は100・6万人、前年比117%でほぼ東日本大震災前の水準まで回復しています。要因は、円安や福島空港台湾便が運航している影響により、インバウンドが好調となっているためと考えられます。内訳は主に台湾、タイが中心ですが、近年は欧米から訪れる観光客も増加しているので、さらなるインバウンド向けの施策を実施していきたいところです。
来年にはふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)が開催される予定で、これを機に下郷町を知らない方にも広く周知していきたい考えです。今後は観光消費額の拡大に向けた高付加価値化、本町の豊かな自然や伝統文化等の観光資源の掘り起こし、磨き上げに取り組んでいく考えです」
幸せを実感できるまちへ
──第6次総合計画の総括をお願いします。
「第6次総合計画の検証については、第7次総合計画の策定に当たり、住民アンケート調査を実施しました。『あなたは今後も下郷町に住み続けたいと思いますか』という設問に対し、50・6%の方から『住み続けたい』という回答が得られました。7年前の第6次総合計画策定時の住民アンケートでは『住み続けたい』という回答が39・9%であり、第6次総合計画に基づくまちづくりを進めた結果、一定程度の効果が得られたものと見ております。
一方で、計画における主要指標として定住人口5000人という目標を掲げましたが、国勢調査以降の人口を推計する福島県現住人口調査によると、本町の人口は2月1日現在、4560人となっており、大変厳しい状況となっています。
これらの課題は一朝一夕に解決できるものではありませんが、今後も長期的な展望に立ち、第7次総合計画期間中において『下郷町に生まれてよかった、住んでいてよかった』と幸せを実感できるまちを目指していきたい所存です」
──国道121号湯野上バイパスの開通が延期となりました。今後の見通しについて。
「現在本町では、会津縦貫南道路のうち、湯野上バイパス8・3㌔が国直轄権限代行事業、下郷田島バイパス11・1㌔が福島県事業として、開通に向けて整備にご尽力いただいています。現国道121号は県内の主要観光地でもある大内宿へのアクセスルートとなっておりますが、観光シーズンには渋滞が発生し、観光交流のみならず生活交通に支障をきたしております。また、同国道は緊急輸送道路に指定されており、一方で特殊通行規制区間及び異常気象時通行規制区間です。
さらに、線形不良個所などが多く、大型車両の通行に支障をきたすほか、第3次救急救命医療施設まで60分以上かかるなど大きな課題があります。会津縦貫南道路の早期開通は、地域生活の利便性の向上、安全性の確保、観光や物流などの広域的な連携交流の促進、さらには地域産業の活性化や医療過疎の解消のために何より重要と考えているので、早期開通に向けて、強く要望していきたいと考えています。
会津縦貫南道路は会津縦貫北道路や栃木西部・会津南道路と併せ、本町のみならず会津地域の未来を創る道路となるので、引き続き道路整備のもたらす効果と重要性を地域の声として、あらゆる機会を通して関係機関にしっかり届けていきたいと考えています。皆様方のご支援、ご協力をお願いいたします」
──その他、今年度の取り組みについて。
「町制施行70周年を迎える今年度は、町政発展のさらなる飛躍の年とするため、本町で過去に実施した周年行事はもちろん、他市町村の例も参考にしながら検討しているところです。その実施に当たっては、町民の皆様方にもご協力をいただきながら進めていきたいと考えています」
──今後の抱負を。
「下郷町は先人より受け継いできた美しい自然や守り伝えてきた文化、伝統があり、訪れる人々を温かく迎える魅力ある町です。
将来を担う子や孫の世代へとつないでいくために、安心して子育てができる環境や高齢者がいきいきと生活できる環境を整えるとともに、町民一人ひとりがいきいきと暮らし、『下郷町に生まれてよかった、住んでよかった』と幸せを実感できるようなまちづくりを目指します。
『魅力あふれる未来へつなぐまち下郷』の実現に向けて、今後も各種事業を進めていきます」