【福島県中小企業家同友会】齋藤記子会長インタビュー(2026年2月)

経歴

さいとう・のりこ 1952年生まれ。㈱cluster取締役会長。福島県中小企業家同友会会津地区会長、同副理事長、同代表理事を経て、2023年4月から現職。

創立50周年でさらなる組織強化図る

――新会長に就任して間もなく3年が経過します。

「常に責任の重さを感じる日々でしたし、当初は、私のような者が2000社近い会員の代表でいいのかという戸惑いがありました。ただ、途中からは腹をくくり、『総会で選任されたということは、周りの皆さんが私の能力を理解した上でOKを出してくださったのだ』と考えるようにしました。幸いにも当会の理事や事務局の皆さんは優秀な方ばかりで、方針を示せばすぐに形にしてくださるので、本当に感謝しています。会長任期は1期2年で、現在は2期目の残り1年という『まとめ』の時期ですが、掲げてきた目標の多くは形になってきたと自負しています」

――県内経済、中小・小規模事業所の現状について。

「最大の問題は、コスト上昇分を適正に価格へ反映させる『価格転嫁』が思うように進んでいないことです。無理に価格を上げればお客様が離れてしまうかもしれない、という恐怖心がある一方で、スタッフの給与は上げなければならない。この板挟みの中で多くの経営者が苦しんでいます。正直に申し上げれば、国の政策決定の場に、中小・小規模事業所の現場感覚がどれほど反映されているのか疑問に思うこともあります。大企業だけの意見を踏まえて『一気に賃上げを』と言われても、上げたくても上げられない企業はどうすればいいのか。性急すぎる議論に危機感を覚えます。賃上げだけが先行して倒産が増えては元も子もありません」

――現場の声を行政や公的機関へ届ける動きも活発化していますね。

「日本銀行の福島支店長との意見交換、女性活躍に関する行政の会議などに呼ばれる機会が格段に増えており、現場の窮状をストレートに伝えています。同友会の活動が広く認知され、現場の意見を吸い上げて伝える役割を期待されていると感じます。

特に知ってほしいのは人手不足の深刻さです。医療・介護分野においては人材がいないために訪問介護やデイサービスを休止・閉鎖せざるを得ず、会社としての収入が途絶えるという問題になっています。こうした現状を打破するためにも、同友会の目的の一つである『強靭な経営体質』を作ることが急務です。同友会での学びを通じて、雇用力を高め、地域経済を回していく役割を果たさなければなりません」

――同友会は「経営者の学びの場」として他団体と一線を画しています。その魅力を教えてください。

「同友会には経営者が自ら弱みをさらけ出し、失敗体験すらも共有できる風土があります。イベント開催のために交流するのではなく、1人の経営者の報告を聞き、グループワークで議論して、自社に持ち帰って実践する。その結果、会社を良くし、社員を幸せにしていく。このサイクルが徹底されています。ノウハウを口外したら損をすると考えるのではなく、教え合い、つながることで共に成長を目指していきます」

――同友会の学びを活かして成果を上げている企業も多そうですね。

「枚挙にいとまがありませんが、福島市の菓子卸業『渋谷レックス』(渋谷裕司代表取締役社長)は同友会での学びを生かし、社員共育に注力した結果、採用が増え、売上も数倍に拡大したそうです。このほか、困難な時代にあっても『同友会で学んだからこそ今がある』と言ってくださる企業が各地区に存在します」

――2027年には創立50周年となります。最後に今年の抱負をお聞かせください。

「1つは『女性活躍』のさらなる推進です。現在、女性会員の比率は1割にも達していません。女性が県の代表となったのは、北海道・東北ブロックとしても初めてという今こそ、女性経営者の参画を促したい。多様な視点をバランスよく取り入れることが組織の進化につながります。

2つは、事務局の組織強化です。この3年間、パート職員を含めた全事務局員との面談を続けてきました。『自分の意見が組織に通る』と実感し、自律的に成長できる環境を整えることが、会員支援の質を高める上での大きな力となります。

3つは組織の規模拡大です。人口減少で企業数も減少傾向にありますが、各支部の全企業数の10%が会員という状態を目指していきたい。節目の年を密度の濃いまとめの年にして、次の50年へとつないでいく基盤を盤石にしていきます」


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