政経東北|多様化時代の福島を読み解く

【オール・セインツ】郡山駅東口の結婚式場が突然閉鎖

【オール・セインツ】郡山駅東口の結婚式場が突然閉鎖
事業を停止したオール・セインツウェディング

 JR郡山駅東口の結婚式場「オール・セインツウェディング」が突然閉鎖した。本誌に情報が入ったのは6月9日。市内のある式場幹部がこう教えてくれた。

 「オール・セインツで結婚式を予定していたカップルが『式場と連絡が取れなくなった。どうすればいいのか』と相談してきたのです」

 オール・セインツは英国式チャペルとゲストハウス型パーティー会場で構成されている。チャペルには英国で実際に使われていたステンドグラス、パイプオルガン、長椅子、説教台があり、司式者も認定証のある牧師に依頼するなど、本物志向の結婚式を提供していた。式会場は30~190人まで収容可能な3タイプを揃えていた。

 ネットで検索すると、昨年度まで3年連続で「口コミランキング福島県総合1位」を獲得しており、人気の式場だったことが分かる。

 6月10日、現地を訪ねると、チャペルに通じる門など全ての出入口が閉ざされていた。門やドアには次のような紙が貼られていた。

 《オール・セインツは、令和5年6月8日をもって、法的整理準備のために事業を停止いたしました。債権者の皆様にはご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ございません》

 本誌に情報が入った前日に事業を停止していたわけ。

 式場周辺を見て回ると、付属施設のドアが1個所開いているのを見つけた。「ごめんください」と声をかけると、中から大柄な男性が汗だくで出てきた。オール・セインツの代理人を務める山口大輔弁護士(会津若松市)だった。

 「私の一存でどこまで話していいのか判断がつかないので、取材は遠慮したい」(山口弁護士)

 施設内で何をしていたのか尋ねると「電気が止まる前に食材の整理をしていた」と言う。代理人がそこまでするのかと更に問うと「いろいろあって……」と言葉を濁した。

 近所のホテル従業員の話。

 「オール・セインツを通して宿泊予約をされていたお客様から『式場と連絡が取れない』と聞かされ、見に行くと事業停止の張り紙がありました。直近で5、6組の宿泊予約が入っていたのですが、全てキャンセルでしょうね」

 結婚式の予定が見通せなくなったカップルは少なくないようだ。

 ㈱オール・セインツ(郡山市方八町二丁目2―11)は2003年7月設立。資本金1000万円。代表取締役の黒﨑正壽氏は79歳、札幌市在住だが、出身は福島県という。直近5年間の売り上げ(決算期9月)は2018年2億4000万円、19年2億4000万円、20年1億8000万円、21年1億5000万円、22年1億円。新型コロナの影響で苦戦していた様子がうかがえる。

 関連会社にブライダルコンサルタント業の㈱プライムライフ、式場の管理運営を行う㈱TAKUSO(住所はいずれも郡山市駅前一丁目11―7)がある。両社の事務所も訪ねてみたが留守だった。

 オール・セインツの土地と建物は小野町の土木工事・産廃処理会社が所有している。同社にも事情を聞いてみたが、社長から「当社が事業用地および事業用建物として賃貸しているのは事実です。賃借人弁護士から事業停止の通知が届き、驚いています。それ以上のことは多くの方が関係していることもあり、個人情報保護の観点からコメントは差し控えたい」というメールが寄せられ、詳しいことは分からなかった。

 債権者の中には結婚式を予定していたカップルも含まれる。ネットの投稿などを見ると、オール・セインツは招待客1人当たり4万5000円かかるようなので、50人招待すると225万円の見積もりになる。事業を停止すると分かっていてカップルから前金を受け取っていたとすれば、悪質と言うほかない。

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