野焼きで「炎上」した【本多俊昭】市議【二本松市】

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【二本松市】野焼きで「炎上」した本多俊昭市議

 二本松市の本多俊昭市議(63、4期)が所有地に廃棄物を運び込んで一部を焼却処分したとして、市の担当課から注意されていたことが分かった。本多市議は反省の意を示しているが、近隣住民はこの間の言動も含めてその対応に不信感を募らせており、議員辞職を求めている。

議員辞職を宣言もあっさり「撤回」

本多俊昭市議

 本多市議は福島農蚕高卒。同市南部の舘野原(杉田地区)在住で、農業に従事している。2022年6月の二本松市議選(定数22)では1470票を獲得して4位当選。令和創生の会に所属し、執行部(三保市政)を厳しく監視・追及するスタンスを貫いているが、ここ2年は1年に1回代表質問で登壇するだけで、一般質問はしていない。

 そんな本多市議について、「所有地に廃棄物を不法投棄し、野焼きしていたとして近隣住民とトラブルになっている」とウワサが流れている。

 真相を確認するため、市内で聞き込みをしたところ、本多市議とトラブルになっている近隣住民Aさんにたどり着いた。

 Aさんはこのように明かす。

 「同市箕輪の人通りのない場所に、本田市議が所有する農地がある。昨年6月ごろ、その場所に選挙で使った腕章や布団などを捨て始めた。隣接する私の土地にも侵入していたため、撤去を求めたのですが、少し場所をずらしただけで、その後も放置されたままになっていました」

 しばらくすると、近くにあるAさんの自宅にスズメバチが飛んで来るようになった。「廃棄物に巣を作られてはたまらない」とAさんは3度にわたり市に「本多市議に撤去させてほしい」と相談。市が指導に入り、1カ月ほど経ったころ、その場でそれらの一部を燃やし始めたという。

布団などが仮置きされた本多市議の所有地
布団などが仮置きされた本多市議の所有地
焼却している様子
焼却している様子

 「近隣に住む私に何の連絡もなく焼却し始めたので驚きました。幸い周辺の木には延焼しませんでしたが、危ない行為でした」(Aさん)

 廃棄物処理法第5条では「土地又は建物の占有者は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない」と定められており、行政機関では「廃棄物の一時保管」と称して廃棄物を放置したままにしないように呼びかけている。

 また、同法第16条の2では、悪臭やダイオキシン類の発生原因となることから、災害ゴミの処分やどんど焼きなどの例外を除いて野外焼却を禁止している。市が配布しているチラシでも「地面の上で直接ゴミを燃やすこと」について「次のような焼却行為は法律に違反しますので罰せられることがあります」と注意を呼び掛けている。

 本多市議は公職に就いているにもかかわらず、こうした違反行為を平然と行っていたわけ。なお、焼却されたのは一部で、残りは本多市議の別の所有地に移動されたという。

 Aさんによると、本多市議は当初、誤りを認め、深く反省しているとして、市議会3月定例会終了後に議員辞職する考えを明かしていた。Aさんはトラブル防止のため、会話の様子を「秘密録音」し、記録に残していることを明かす。

 「ところが、3月定例会終了後に電話すると『弁護士に相談したら不法投棄に当たらないし、議員を辞職する必要はないと言われたので、議員活動を続ける』と、あっさり前言撤回したから呆れました。こういう人物の言うことは信用できないし、議員にはふさわしくないと思いますよ」(Aさん)

本多市議を直撃

 本多市議は近隣住民のこうした声をどのように受け止めているのか。舘野原の自宅を訪ねたところ、本人が取材に応じた。

 ――自分の所有地に廃棄物を捨て、その場で燃やしていたと聞いた。

 「廃棄物ではなく、自宅の片付けで出た不要物をごみに出す前に〝仮置き〟していた。ただ、一部を所有地で燃やしたのは事実だ」

 ――廃棄物処理法で野焼きが禁止されていることを知らなかったのか。

 「ちょっとした判断ミスで、深く認識せずにやった。反省して、弁護士の先生に相談したところ、『そこまでのアレじゃないし、深く考えない方がいい』とアドバイスされた。県の人権擁護委員会の先生、法徳寺の住職にも相談したが、『議員を辞めるまでには至らない』との意見をもらったので、議員活動を続けることにした」

 ――いま思うことは。

 「議員という立場上、その行動がいろいろな人に見られていることをあらためて自覚したうえで、引き続き議員活動に取り組んでいく」

 同市生活環境課によると、Aさんからの連絡を受けて後日、同課職員が現地を確認し、本多市議に厳重注意を行ったという。そもそもごみに出す予定で〝野ざらし〟で農地に置いておいた不要物を「仮置きしていた」という言い分は苦しい。

 現地は細い農道を通ってしか入れない場所にあり、ほとんど人通りがない。そんな土地で、公職に就く人が近隣住民に声もかけず自宅の不要物を焼却するのは、客観的に見ても異様に映る。「人の目がないところで何か不都合なものを処分しようとしているのではないか」、「所有地をごみ捨て場代わりに使っていたのではないか」と疑われても仕方ないだろう。

 複数の関係者によると、狭い地域の話がウワサとなって市内に広まった背景には▽地縁団体などに推されない形で当選した本多市議と一部の地元住民との確執、▽議会で三保市政の批判を続けており、三保市長の支持者から敵視されている――といった事情も影響しているという。

 本多市議とAさんは、土地境界線をめぐって以前からもめているようで、今回のトラブル発生後、逆にAさんが誤って本多市議の所有地の木を無断伐採していたことも発覚したという。そうした経緯もあってか、互いに感情的になっているように見える。

 Aさんは廃棄物の撤去を求め、同市生活環境課と二本松署に連絡したが、動きは鈍く、現場を確認した様子は見られなかったという(※)。早い段階で行政機関が対応しなかったことが、結果的に事態を悪化させたとも考えられる。

 本多市議は「近所付き合いもあるし、大ごとになればこちらも主張しなければならないことが出てくる。記事にはしてほしくない」と言うが、Aさんは逆に「この事実を多くの人に知ってほしい」と話している。議員として地元住民と良好な関係を築いていくことが求められるが、関係修復は容易でなさそうだ。

※市生活環境課は「Aさんから通報を受けたので後日当事者(本多市議)に電話して注意した。所有地における廃棄物の捉え方については、グレーな面がある」、二本松署は「個別の案件についてはお答えできない」と回答している。

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