なかむら・けんしん 1960年生まれ。明治大卒。会津日石販売㈱代表取締役。2020年6月から福島県石油商業組合理事長を務める。
──燃料価格の激変緩和措置の補助金縮小を受け、12月、1月と2カ月連続で燃料価格が上昇しています。物価高に苦しむ消費者にとってさらなる打撃となっていますが、組合としてどのような取り組みを進めていますか。
「価格については組合単独で決定できる問題ではありませんが、組合員のスタンドでは消費者への事前告知を徹底しています。店頭表示や情報提供を通じて、消費者の皆さまが事前に価格変更前の商品を購入するなどして対応できるよう努めています。ただし、最初の波である12月の時と比べると、年始の時点での消費者の皆さまの動きはそれほど大きくなく、スタンドが混んでいるような状況にもなっていない。この間テレビや新聞などでも報道されたこともあり、諦観している方々が多いのかもしれません。むしろ補助金よりもガソリン税の暫定税率に関する関心が高まっている印象です。時限立法を定めてガソリン税の負担を少なくするなど、抜本的な見直しを求める声が強まっているのかなと感じました。税制改正など、昨今の厳しいガソリン情勢の動向に注目が集まっているということでしょうね」
──政府、与党はガソリン減税について、脱炭素化に向けた電気自動車(EⅤ)の普及や税収への影響を考慮し、2026年度税制改正で結論を出す方向性を打ち出しました。こちらについて、どのようにお考えですか。
「車両税と燃料税を一体的に考える方向性が示されていますが、脱炭素化の議論には疑問も感じています。電気自動車の製造過程での環境負荷や、実際の運用面での課題など、より包括的な議論が必要だと考えています。日本の状況に応じた現実的なアプローチを検討すべきだと考えています」
──組合の今後の重点事業についてお聞かせください。
「経済対策として、自治体と連携したガソリン券の活用を推進しています。現金給付と比べてコストパフォーマンスが良く、使途の管理も容易なため、年明けから年度末にかけて活用推進をアピールしていく考えです。
全国でも導入事例があるので、北海道や長野県などの先行事例を参考に、福島県内での展開を目指していきたいと考えています」
──今後の抱負を。
「人材確保が最大の課題です。少ない人員で運営できるセルフスタンドは増えていますが、特に若い世代の採用が困難になっており、給与体系の改善も容易ではありません。安全点検などのサービス提供と、適正な対価の確保のバランスも課題となっています。業界の持続可能性を確保するためにも、これらの課題に対する包括的な解決策を模索していかなければなりません。環境への配慮だけでなく、持続可能性のバランスも考慮しながら新たな展開を探っていく所存です」