――双葉駅西側の公営住宅が完成しました。
「一昨年完成した北地区で募集した39戸はほぼ100%入居しています。今回完成した南地区は6月1日から入居が始まり47戸中約半分ほど入居しており、全体で約7割の入居率となっています。他地区の災害公営住宅や再生賃貸住宅とは景観や雰囲気が違うつくりになっています。これは帰還するまで最も時間がかかったからこそ、ほかの災害公営住宅のいいところを踏襲し、『自分たちが住みたい家や戻りたい環境』を念頭に整備してきたためで、かなりいい住宅ができたと自負しています」
――今後は商業施設がオープン予定となっています。
「いままで商業施設がなく、買い物環境整備のため、浪江町のイオンと提携し世界初の水素自動車による移動販売を行ってきましたが、常設の商業施設ができることで買い物環境は劇的に改善されると期待しています。
また、旧体育館跡地にも商業施設がオープンし飲食店も3店入居予定のほか、東日本大震災・原子力災害伝承館の北隣に大和ライフネクストのホテル『FUTATABI』がオープンします。大規模な国際会議ができる会議室を備え、客室数は100室でレストランやスパも併設します。いままでは国際会議に対応した施設がありませんでしたが、地域最大級のカンファレンスホテルですから、国内のみならず海外の方にも被災の中心地を見ていただきながらここで会議などが出来るようになります。今後は商業施設やホテルなどがオープンすることで、令和7年度から8年度にかけ、町の風景や状況は変わると思います。人の流れが変わることで住民帰還や移住などにつながることを期待しています」
――民間企業が進出している一方で人手不足も懸念されています。
「ほとんどの企業が人手不足に頭を悩ませています。とはいえ、人手不足という言葉で片付けず、逆転の発想でどう解消していくのかが町としての課題と捉えています。人を呼び込むためにどう発想転換していくかが重要だと思っています」
――今後の抱負。
「非常に厳しい状況の中で避難指示解除となりましたが、マイナス思考では何も状況は変わりません。避難指示解除が遅れたことで先行して避難指示解除した自治体などの取り組みなどを参考に復興を進め、やはり住民の皆さんに希望を持ってもらえるような発信が必要です。戻ってきたくなるようなまちづくりを職員一丸となって取り組んでいきたいと思っています」