――福島民報社と連携協力協定を結び、人材育成の取り組みを進めるそうですが。
「教育分野における新聞の活用、いわゆるNIE(Newspaper In Education)は、デジタル化が進む昨今において世界的に注目が集まっており、新聞紙面から正確な情報を読み取る力を養うことに加え、新聞の持つ文化的側面を保護する目的もあります。デジタル化が進む中、自分の知りたい情報だけが勝手に入ってくるのは情報として偏りが出ますし、新聞紙面から政治・経済を含め様々な情報を読み取り、広く関心を持つようにするだけでなく、古来から受け継がれてきた読み書きの文化を絶やさず、教育の向上につなげていきたいと考えています」
――先日、茨城県大子町で開催されたJR水郡線のシンポジウムでは、茨城県からは知事や沿線自治体の首長およそ300人が参加した一方で、福島県の自治体から出席したのは佐川町長のみでした。
「本町には4つの駅があり、各地区の通勤・通学の基点となっていることから、水郡線は切っても切り離せないものです。一昨年、JR東日本が発表した収支報告では、水郡線の区間内に赤字路線があるとのことで、自治体としての関わり方をあらためて考えさせられました。ただ、単独の自治体だけでの解決は困難ですから、茨城県側と共同でイベントを企画したり、水郡線を利用したツアーの実施など、沿線自治体を挙げての活性化が不可欠だと思います」
――第6次総合計画の進捗について。
「今年度は計画4年目で、来年の最終年度に向けて今年2月に計画の見直しを実施しました。その中でも、来年から東館駅前周辺の整備に着手したいと考えているほか、5年間で子どもたちを取り巻く環境は変化し、子育て支援の在り方もあらためて考えなければなりません。社会の変化と共に時代に合った施策を町民の皆さまに提供していきます」
――今年度の重点事業について。
「人口減少社会の中で、関係人口・交流人口の創出は喫緊の課題です。それに併せて地域の活性化、農業・商工業の活性化にも取り組んでいかなければなりません。コロナ禍以来、戸津辺の桜の来場者が今期初めて2万2000人を超えました。この間のPR効果だけでなく、身近な資源が観光地になり得る時代が到来しているのだと感じていますし、奥久慈県立自然公園矢祭山や久慈川沿川のサイクリングコースのPRなど、本町にはまだまだ沢山の観光資源があるので、それらを周知しながら観光振興に取り組み、賑わい創出につなげていく考えです」