【写真】復興拠点避難解除の光と影【浪江町・富岡町】

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【写真】復興拠点避難解除の光と影【浪江町・富岡町】

 浪江町と富岡町の帰還困難区域内に設定された「特定復興再生拠点区域」の避難指示が解除された。これまでに葛尾村、双葉町、大熊町で復興拠点の避難指示が解除されており、今回は4、5例目となる。(写真左下の数字は地上1㍍で測定した空間線量。単位はマイクロシーベルト毎時)

 浪江町は3月31日に解除され、午前10時に町の防災無線で解除を伝える放送があった。その後、室原地区の防災拠点(整備中)敷地内で記念式典を行い、吉田栄光町長、政府原子力災害現地対策本部の師田晃彦副本部長があいさつした。同町は総面積約224平方㌔のうち、約180平方㌔(約80%)が帰還困難区域に指定されている。このうち、今回解除されたのは室原、末森、津島、大堀の4地区の復興拠点で、計約6・61平方㌔(約4%)にとどまる。

【浪江町の帰還困難区域】地図

浪江町

【浪江町】津島地区に整備された福島再生賃貸住宅
津島地区に整備された福島再生賃貸住宅(0.56μSv/h)
【浪江町】室原地区の防災拠点
室原地区の防災拠点(0.11μSv/h)
【浪江町】大堀地区の「陶芸の杜おおぼり」
大堀地区の「陶芸の杜おおぼり」(1.78μSv/h)
【浪江町】津島地区の福島再生賃貸住宅の住民に群がる報道陣
津島地区の福島再生賃貸住宅の住民に群がる報道陣 (0.46μSv/h)
記念式典であいさつする吉田栄光浪江町長
記念式典であいさつする吉田栄光浪江町長



 一方、富岡町は4月1日に解除された。同日は避難指示解除記念セレモニーが行われ、山本育男町長があいさつした後、岸田文雄首相らが祝辞を述べた。同町の総面積68平方㌔のうち、帰還困難区域は約8平方㌔(約12%)。このうち、復興拠点に指定されたのは桜並木で有名な夜の森地区など約3・9平方㌔(約49%)となっている。

【富岡町の帰還困難区域】地図

富岡町

【富岡町】にぎわう夜の森公園の隣接地には除染などで解体された住宅の跡が残る
にぎわう夜の森公園の隣接地には除染などで解体された住宅の跡が残る (0.32μSv/h)
【富岡町】多くの花見客でにぎわう夜の森の桜並木
多くの花見客でにぎわう夜の森の桜並木 (0.42μSv/h)
【富岡町】除染された夜の森公園で遊ぶ家族連れ
除染された夜の森公園で遊ぶ家族連れ (0.20μSv/h)
閉店した状態のままになっているコンビニエンスストア (0.44μSv/h)
【富岡町】避難指示解除記念セレモニーに参加した岸田文雄首相(中央)と、山本育男富岡町長(左)、内堀雅雄知事
避難指示解除記念セレモニーに参加した岸田文雄首相(中央)と、山本育男富岡町長(左)、内堀雅雄知事


 復興拠点の避難指示解除は、これまでに葛尾村、双葉町、大熊町で実施され、浪江町と富岡町は4、5例目になる。住民が戻って生活することが難しいとされてきた帰還困難区域だが、こうして復興への第一歩を踏み出した。その歓迎ムードの一方で、放射線量の問題やどれだけ住民が戻るかといった課題があり、復興への道のりは簡単ではない。

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