たかまつ・ぎぎょう 1954年生まれ。大正大仏教学部卒。1995年から旧本宮町議。2007年から本宮市議、2011年1月の市長選で初当選。現在4期目。
――昨年「こども家庭センターあゆみ」を設置しました。
「もともと別々に存在していた『子育て応援センターあゆみ』と、『子ども家庭総合支援拠点まゆみ』を統合したのが『こども家庭センターあゆみ』です。妊産婦、子育て世帯、子どもに関するすべての相談・支援等を一体的に行うための機関として、本宮市民元気いきいき応援プラザの2階に設置しました。
今まで二つに分れていた組織を一つにまとめ、窓口が一本化されたことで市民の方々にとっては非常に使い勝手が良く利便性が向上したということで好評の声をいただいています。最終的には一つのセクションで妊娠してから高校生の年代までワンストップで相談・支援ができるサービスを目指していく考えです。そのために、市民の皆さまのご意見やご要望を反映しながら、コンパクトシティに相応しい機能集約型の施設として、より良い利活用を模索していきます」
――昨今は全国的な米価の高騰が問題となっています。今年度の重点事業として、農業振興地域整備計画策定事業などに取り組んできましたが、現在の状況について。
「農業振興地域整備計画策定事業は令和6年度からの事業で、大まかに言うと今後の開発に必要な土地と、農地としてしっかり守っていかなければならない土地を精査していくものです。この事業を進めるに当たり、市としての考えや地権者の方々の意向、そして都市計画との間で、しっかり整合性を図りながら取り組んでいかなければなりません。市としては今後の開発計画について農地の地権者の方々にご理解・ご協力いただけるか、その下準備を現在進めているところで、地権者の方々の意向も汲みながら、計画の総合見直しに向けて進めていきます」
注目集めるIC周辺開発
――本宮インターチェンジ周辺開発について、市民から大きな関心が集まっていますが、こちらの進捗状況はいかがでしょうか。
「インターチェンジ周辺の開発については、某量販店の出店をめぐって、メディアやSNSを含め、様々な噂が飛び交っています。同所に出店の話が持ち上がっているのは事実ですが、物価や資材高騰の影響もありますし、何より出店候補地は本市だけではありません。全国的に何十カ所もある中の一つということなので、先方のプライオリティという意味でも今後じっくりと協議していく考えです。
地域の方々の声を聞くと、商業施設を望む声や人が集まれる施設が欲しいという要望が多く、市としても地域の皆さまに喜んでいただけるような施設をつくるということに注力していく考えです。
現在6年計画で道路拡幅工事を進めており、事業費がおよそ19億円かかる見込みです。決して小さな数字ではありませんし、それだけの費用がかかる中で、新たな商業施設の誘致ということに多大な関心が寄せられるのは至極当然とも言えます。そのうえで、来るか来ないかに関わらず、インターチェンジ周辺の開発は粛々と進めていきますし、あくまで出店ありきで進めるのではなく、いずれの結果になったにしても住民の方々が利用しやすいように準備を進めているところです。
また、JR五百川駅周辺の開発も並行して進めており、郡山駅まで電車で8分というアクセスの良さを考慮しつつ開発事業に取り組んでいく考えです」
――昨年は衆院選が行われ、県内でも勢力図が大きく変わりましたが、国や県に臨むことは。
「国・県に望むこととしては、やはり国民のため、県民のために何を為すべきかということをしっかり議論してほしいということに尽きます。今回の選挙結果は民意ですから、我々も真摯に受け止めなければなりません。これは国会の代議士の方々や県議、市議の方々も同様に考えていらっしゃると思います。
本宮市は選挙区の変更で新1区となり、これまで根本匠元代議士には震災対応や水害対応、さらにはコロナへの対応など、様々な部分でご尽力いただき、今回の衆院選での引退は名残惜しいところはあります。ただ、根本氏には本市の政策アドバイザーとして今後も携わっていただくので、またご協力を賜れることにほっとしています。今回は野党が議席を増やし、少数与党という結果になりましたが、野党の方々ともじっくり地に足をつけて議論し、よりよい地域づくりのためにご活躍いただきたいと考えています」
――今後に向けた重点施策についてお聞かせください。
「本宮市は令和9年の1月1日で合併20周年を迎えます。市として発足した当初を振り返ってみると、財政難に苦しみ、財政が健全化してきたと思った矢先に東日本大震災による風評被害、それが落ち着いたころには令和元年東日本台風による被害、その復旧の途上でのコロナ禍、そして2回の福島県沖地震など、様々な災害に見舞われました。
いずれの時も、一番頑張ってきたのが市民の皆さまで、震災も然り、水害も然り、コロナも然り、我々行政よりも市民の皆さまの方が大変で苦しかったはずなのに、特に水害からの復旧では皆さん泥だらけになりながらも笑顔で頑張る姿に私の方が勇気づけられました。そうした市民の皆さまへの感謝の思いも込めて、20周年の節目には市民の皆さまが心から笑顔になれるような式典をやりたい、そんな本宮市を創っていきたいというのが私の目標です。そのようになれれば、次代へバトンを繋げられるような土台もできていると思いますし、今年度は合併20周年を見据えて準備を進めてきました。
次年度である令和7年度についても、みんなで心から笑顔になれるようなまちづくりを目指し、県内でも特色あるオンリーワンな本宮市をつくり上げ、みんなに住んでもらいたいと思ってもらえるような地域づくりを進めていく考えですし、今実施しているあらゆる事業が全部そこに集約していくような取り組みを進めていきます。令和7年は合併20周年に向けた一つの過程ということで、令和9年1月1日までにあらゆる力と知恵を集めて、本市の魅力を発信し、つくり上げることに注力していきます」
――今後の抱負。
「首長には任期があり、決められた期間で何をしていくか、一つの筋を決めていかないと、結局自分がやりたかったことにつながっていかないと考えています。そのためにも前例踏襲や固定概念に縛られず、自由な発想で職務の遂行に努めていきます。また、先ほども述べた通り、合併20周年に向けて、市民の皆さまと本当に心から笑顔になれる本宮市を創りたい。その思いを胸に職員一丸となって取り組んでいきます」