【二本松商工会議所】菅野京一 会頭インタビュー(2025年)

【二本松商工会議所】菅野京一 会頭インタビュー(2025年)

経歴

すげの・きょういち 1954年2月生まれ。福島大経済学部卒。糸屋ニット・菅野繊維代表取締役。二本松商工会議所副会頭を2期務め、2022年11月から現職。

 二本松商工会議所(総会員数833社)の会頭に菅野京一氏(71)が再任された。2期目は観光に力を入れていく方針を示す。来年4〜6月には福島県全体でJRと連携した観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン」が繰り広げられる。それに合わせて桜の名所と安達太良山の観光、そして秋の菊人形へと流れをつくる考えだ。

 ――会頭に再任されました。現在の率直な感想と1期目の振り返りをお聞かせください。

 「前の任期の3年間は当初思い描いていたことの6~7割は達成できたと感じています。しかし、経済情勢は非常に厳しいです。私たち商工会議所にとって最大の課題は会員数の減少です。『経済が栄えなければ、まちは滅びる』という言葉があります。私の願いは、この二本松商工会議所が、この新しい任期中にもう一度、元気な姿を取り戻していくことです。市内で最大の経済団体として、行政に対して堂々と意見を持ち、方針を掲げて邁進していきたいです。

 大きな目標の一つは、中心市街地の空き店舗利用を踏まえた人口減少対策です。二本松商工会議所は管内の加入率が県内でも高い水準にありますが、後継者がいない事業所が廃業し、会員が減っています。

 商工会議所の大きな役割は中小企業相談所の機能です。親身になって相談を受け、共に解決策を考えてアドバイスを行うのが大きな特徴です。この機能を最大限に生かすため、職員の資質向上を図ります」

 ――管内の経済情勢、会員事業所の状況は。
 「人口減少と働き手の減少は日本全国共通の悩みです。その中で私たちにできるのは、減少の波を少しでも抑えること、そしてそれを元に戻すための施策や政策に行政と一体となって取り組むことです。具体的には空き店舗の利用促進です。

 地元への若者の呼び戻しにも力を入れます。これは後継者不足の問題と関わります。首都圏に進学した若者に地元に帰ってもらうには、学んだ知見や技術を生かせる職場・職種が用意されていなければなりません。二本松市には高い技術を誇る企業があるのですが、知られていない現状があります。こうした優良企業を若者に周知し、地元への就職を増やすための対策を講じていきたいです」

 ――高市早苗内閣が発足しました。地方から国に何を求めますか。

 「賃金アップは働き手にとっては良いことですが、余力のない中、経営を維持している中小・零細企業にとっては大きな負担です。現実問題、賃上げの原資をどこから見出すかに非常に頭を悩ませているのです。

 国には単に『賃上げを』と口で言うだけでなく、原資の出どころを担保する施策や方策を打ち出していただきたいです。例えば、中小企業が大手企業に製品を納める際、適正な価格が支払われるよう、価格転嫁の率を上げるよう国の施策で進めてほしいです。中小企業の経営者は従業員のために賃金を上げたいという気持ちは山々ですが、原資がない現状では厳しいのです。

 政府は大手企業に対し、下請け、孫請け企業に至るまで適正な取引価格を確保するよう働きかけてほしいと強く要望します。特に二本松管内には大手企業と取引がある自動車関連企業が多いので、適正価格の確保は切実です」

 ――来年は「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」が行われます。春には桜の名所、夏には安達太良山登山、秋には70回目を迎える「二本松の菊人形」など1年を通して集客が見込めます。どのように交流人口増加を図っていくお考えでしょうか。

 「ふくしまDCは観光関連団体が主体となります。現在、にほんまつ観光協会に商工会議所から理事を出す形で連携を深めています。私自身、にほんまつDMO(観光地域づくり法人)の理事長も務めておりDCと合わせてインバウンドに力を入れています。

 安達太良山の観光資源は二本松市だけでなく、福島市、本宮市、大玉村、猪苗代町も含めた広域観光の核になります。海外の方にはドリフトの聖地『エビスサーキット』が人気です。ドリフト走行を体験していただいてただ帰るのではなく、市内に宿泊して特産品を飲んで食べ、長く滞在して素敵な思い出を持ち帰ってほしいです。

 安達太良山麓にはJICA(国際協力機構)の訓練所があります。国内で訓練所があるのは、二本松市と長野県駒ヶ根市だけです。訓練生と地域の交流を密にし、巣立っていく訓練生たちの口コミを通じて『二本松は良いところだ』と国内外に広まると嬉しいです。
 『二本松の菊人形』は来年で70回目を迎えます。福井県越前市の『たけふ菊人形』、大阪府枚方市の『ひらかた菊フェスティバル』と合わせて日本三大菊人形とされています。1本の菊から多数の花を咲かせる『千輪咲』は二本松市内で栽培できる職人は数人だけで、かけがえのない宝です。第70回の菊人形は霞ヶ城の地形を生かして、もう一工夫ある仕掛けをみんなで考えていきます」

 ――11月にプレミアム付き商品券を発売しました。

 「今回も完全抽選方式で販売しています。市民の皆様からは『当たらない』と苦情もありますが、逆に誰に当たるか分からない公正な抽選として浸透しています。10%のプレミアム率により5万円で買った券が5万5000円分の価値になります。

 課題もあります。商品券の利用の7割近くは、大型店舗に流れてしまいます。商店街や中小規模の加盟店に、より多くお金が流れるように、使い勝手を良くする方法を検討しています。具体的には、広く勧誘し加盟店を増やすこと。また、法律上の問題で難しいかもしれませんが、大手ではなく小規模店で利用した場合のプレミア率を優遇するなどです。この商品券は有効期限がないのも特徴です。毎年97〜98%の利用があり、経済効果は大きいです。市の補助を受けられるかどうか次第ですが、できれば今後も継続して実施していきたいです」

 ――新しい任期では、どのようなことに注力したいとお考えですか。

 「先ほども申しましたように中心市街地の活性化です。二本松市は、私たちが思っている以上に、外の方からは『また来たい良いところ』と高い評価を得ています。提灯祭に菊人形、安達太良山はもちろん、『坂の多いまち』の風情は多くの方の心を引き付けるようです。

 このようにたくさんの宝が眠っているのに、まだ最大限活用できていない現状はもどかしいです。新しい任期の3年間では、宝をもう一度掘り起こし、磨き上げます。特に観光の魅力発信に力を入れます。観光を交流人口の増加と地域経済の再活性化につなげていきたい。それが私の思いです」

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