くさの・きよたか 1946年生まれ。東京電機大学卒。草野建設代表取締役会長。2013年から相馬商工会議所常議員を務め、2016年11月から会頭。現在4期目。
今秋、全国の商工会議所で役員の一斉改選があり、相馬商工会議所は草野清貴会頭の続投が決まった。4期目の任期に入る。一方で、経済情勢に目を移すと、燃料・原材料費の高騰、人手不足など、難しい課題が山積している。新たな任期をスタートさせた草野会頭に、そうした課題への対応策や抱負などを聞いた。
――今秋の改選で会頭に再任されました。あらためて、いまのお気持ちをうかがえますか。
「このたび再び会頭を拝命し、身の引き締まる思いです。地域経済の回復と持続的発展に向け、会員事業所のために役立ち、実効ある事業運営に努めていきます。変化の激しい時代だからこそ、次世代へつながる地域の土台づくりに、役員・議員が一体となり、全力を尽くしたいと思います」
――管内の経済情勢、会員事業所の状況をどう見ていますか。
「原材料高や人手不足など厳しい環境が続いていますが、地域の特性を生かして新たな挑戦に踏み出す事業者も増えています。商工会議所としては、事業の継続と成長を支援する体制をさらに強化していきたいと考えています」
――高市内閣が新たに発足しましたが、地方の立場から国に求めたい経済対策について。
「地方経済を支えるのは中小企業であると思います。国には、地域の実情に即した支援策を継続的に講じてほしいと思います。特に人材確保やデジタル化、エネルギーコストの負担軽減など、現場の声を反映した実効性ある施策を期待しています。
また、福島県に対しては、一定の条件を満たした中小企業に対し、従業員の賃上げを支援する『福島県中小企業賃上げ支援金制度(仮称)』の創設を要望しています。特に小規模事業者や地域密着型サービス業に対する重点的な支援をお願いしており、地域全体の底上げにつなげていきたいと考えています」
――人手不足が深刻化する中、相馬商工会議所は事業所と就労を望む外国人をつなぐために、7月に外国人就労支援室を設置しました。現状はいかがでしょうか。
「今年7月に設置した外国人就労支援室には、多くの会員事業所から相談が寄せられています。受け入れ体制の整備や制度理解の支援を進め、すでに複数のマッチング事例も生まれています。今後も、地域に根づく外国人材の定着支援を通じて、持続的な雇用環境づくりに取り組んでいきたいと考えています」
――二度の福島県沖地震で被害を受けた飲食店や宿泊施設などが相次いで再オープンしています。来年春には「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」も展開され、観光業界には追い風になりそうですが、相馬商工会議所としてはそれらをどのように生かしていきたいと考えますか。
「再オープンした飲食店や宿泊施設が地域に活気をもたらしています。来春のふくしまDCを好機と捉え、相馬ならではの海と港を生かした観光交流をさらに広げていきたいと考えています。
来春のふくしまDCに向け、相馬管内では『海と港を生かすまちづくり』を重点テーマに特別委員会を立ち上げました。相馬市は『みちのく潮風トレイル』の終着点で、松川浦県立自然公園は多くの観光客で賑わっています。特に鵜の尾崎灯台周辺や大洲松川ラインには、若いカップルを中心に人気のドライブスポットとなっていることから、この場所を『松川浦恋人岬』と名付けて、フォトスポット整備を進めたいと考えています。復興のシンボルと位置づけ早急に着手していきたいと思っています。
また、相馬産の天然トラフグ『福とら』が好評です。福とらは現在14店舗で提供しており、今年度は16店舗体制に増えます。毎年2月9日と11月9日の『ふぐの日』には調理勉強会を実施し、どの店でも同じようなクオリティーの味が出せるよう研究しています。今後も海と人、地域と人をつなぐ新たな観光資源として育てていき、交流人口の拡大と地域経済の活性化を図っていきたいと思います。
もう一つの柱は街なかの活性化です。国指定文化財の中村神社と涼ヶ岡八幡神社の二つの神社を中心に、城跡の環境整備を行政に働きかけ『城下町相馬』をPRしていきたいと考えています。福島県沖地震で被害を受けた中村城跡の復旧に取り組んでいますが、会議所としても堀の復元などを要望し、歴史あるまちづくりを推し進めていきたいと思います。
やはり相馬市の強みは『海と歴史』だと思います。海産物では、フグ、ホッキ、メカジキの売り込みに力を入れており、水産部会を中心に、メカジキやホッキの加工品の開発を進めています。従来の海産物としてだけではなく、加工品として売り出すことで、相馬市の名産であるホッキを年間通して提供できるようにしていきたいと思います」
――相馬商工会議所が認定している「相馬逸品」は会員事業所、管内にどのような効果をもたらしていますか。
「『相馬逸品』は、地域ブランドの発信と販路拡大に大きく貢献しています。認定をきっかけに商品改良や新たな商談の機会が生まれ、事業者の意欲向上にもつながっています。今後も魅力ある商品が地域を代表する『顔』になるよう支援を続けていきたいと思います。
認定商品の中でも、山形屋商店の『本醸造特選しょうゆ』は、2013、2014、2016、2017年度と4回にわたり、全国醤油品評会で、最高賞にあたる『農林水産大臣賞』を受賞しました。2年連続で農林水産大臣賞に選ばれたのは2022年の『ヤマブンうすくちしょうゆ』、翌年の『ヤマブン別上こいくちしょうゆ』を含めて全国で初めてで、同一蔵元で4回の最高賞を受けたことは喜ばしいことです。日本一に選ばれたということで、浜の駅直売所などでも関心度が高く売り上げも好調です。こういった商品を管内からもっと多く生み出していければと思います」
――最後に、今後の抱負をお願いします。
「相馬野馬追が5月開催となり来年で3回目を迎えます。これによって来場者が増加したことは大変うれしい事と思っています。アンケート結果を見ると女性の観光旅行者が増えたことが分かりました。この層は御朱印集めなどに興味を持っていただける層だと分析しており、現在進めている相馬市の歴史や神社のPRを図り、交流人口を増やして市内を活性化させていきたいと思います。今後も行政など様々な関係機関と連携しながら地域資源を生かした経済活性化に取り組んでいきたいと思います」

























