郡山市内の商業施設で10代女性3人の尻を衣服の上から触ったとして、県警巡査長(事件当時)の男が県迷惑行為等防止条例違反(卑猥な行為の禁止)に問われている。福島地裁で9月10日に開かれた初公判では、「児童ポルノ所持」の余罪も判明した。
郡山駅前交番内で「児童ポルノ所持」
事件当時、郡山北署本宮分庁舎地域係に所属していた巡査長、渡辺振一朗(43)=三春町下舞木岩本(本籍青森県八戸市)は今年5月に郡山市内の商業施設で10代女性の尻を揉んだとして、6月27日、県警本部刑事総務課に不同意わいせつ容疑で逮捕された。
福島地検は、逮捕容疑の不同意わいせつは立証せず、7月12日に県迷惑行為等防止条例違反で起訴した。県警は、9月10日の初公判で渡辺巡査長が起訴内容を認めたことを受けて、翌11日に停職3カ月の懲戒処分を科した。渡辺巡査長は同日付で依願退職した。
同条例違反に問われているのは、起訴状によると次の三つの事件。
①昨年11月4日(土)午後6時20分ごろ、JR郡山駅前の商業施設の中古アニメショップ内で当時12歳の女性の尻を服の上から右手で触った。
②今年1月28日(日)午後4時15分ごろ、同じ商業施設内の別のアニメ関連グッズ販売店で当時15歳の女性の尻を服の上から右手で触った。
③今年5月19日(日)午後4時40分ごろ、②と同じ場所で当時13歳の女性の尻を服の上から右手で触った。
渡辺被告は、直近5月に起こした③の容疑で逮捕された。取り調べを受けるうちに、常習的に痴漢行為をしていたことが分かった。週末に郡山駅前の商業施設に通い、アニメグッズが所狭しと並び、若者が多く集まる店舗内を犯行場所に選んだ。被害者はいずれも10代前半の女性だ。
未成年を性的対象にしていると伺える証拠は他にもあった。渡辺被告は勤務中に児童ポルノを所持していたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反にも問われているのだ。
8月16日付起訴状によると、今年6月8日(土)に郡山警察署駅前交番で、性的な目的で製造された裸同然の児童の画像を3点、自身のスマートフォンに保存。同日、三春町の自宅でも同様の児童ポルノを2点保存したという。
初公判の冒頭、島田環裁判官に起訴内容を認めるかどうか問われた渡辺被告は、痴漢行為については弁護人の「検察官から証拠の開示を受けていないので認否を留保する」との助言を受け留保した。児童ポルノ所持については「その通りです」と認めた。
渡辺被告は現在保釈中。身長は見たところ170㌢後半で細身。眼鏡を掛けている。ボタンダウンの白いワイシャツを着て、頭はキノコ形に刈り上げた小ざっぱりとした姿で出廷した。
刑事裁判では冒頭に裁判官が被告人に職業を尋ねる。渡辺被告は「地方公務員」と言葉を濁し、島田裁判官が「警察官ですよね」と確認する場面があった。警察官は、ランドセルメーカーが毎年小学1年生に行うアンケート調査で男女ともに上位にランクされる憧れの職業。本来は「職業は警察官」と胸を張って答えられる仕事のはず。
次回公判は福島地裁で10月4日午後1時半に開かれる。渡辺被告が留保している痴漢事件についての罪状認否が行われる。