5月14日、矢吹町は酒気帯び運転で白河署に逮捕された同町職員、下坂範明総務課主査を免職とする懲戒処分を発表した。処分は13日付。
同町によると、下坂氏は4月15日、出勤する際に酒気帯び状態で車を運転。朝9時35分ごろ、矢吹町曙町の旧中央公民館付近で街灯に衝突した。駆けつけた白河署員によりアルコール検査が行われ、同日18時30分ごろ逮捕。その後釈放されていた。
処分の理由は「法令等を率先して遵守すべき公務員でありながら、酒気帯び運転という危険な行為を行った。この非違行為により、公務全体に対する町民の信用が失墜し、町政の円滑な執行に、支障をきたすことになった」というもの。
公務外ではあったものの、指導上の措置として、総務課の上司のうち1人を訓告、4人を厳重注意にした。また、町長を減給10分の1(1カ月)、副町長を減給20分の1(1カ月)とする条例改正案を町議会6月定例会に提出する予定。
蛭田泰昭町長は《公務員としてあるまじき行為であり、町民の皆様の信頼を大きく損ねたことに、心より深くお詫びを申し上げます》、《職員の綱紀粛正を図るとともに、職員一人一人に対する面談やコンプライアンス研修などにより、法令遵守を徹底し、再発防止と町民の信頼回復に努めてまいります》というコメントを発表した。
逮捕当時の報道によると、下坂氏は前日の夜から日付が変わるまで飲酒し、当日朝、体調不良を理由に1時間の休暇を取得していた。アルコール検査では基準値の約4倍の数値が検出されたという。もともとかなりの酒好きだったとのことで、町民からは「深酒して朝礼に間に合わない日もあった」、「職場のロッカーに酒が入っていたらしい」というウワサも聞かれた。晩酌での飲酒量を抑制できなかったところを見ると依存症に近い状態だった可能性もある。
町内の事情通は「他の部署にもアルコール依存症になった人がいたと聞いている。今回の件も氷山の一角に過ぎない」と語る。
「昨年、中堅職員が5人退職し、補充はされているが、各部署で慢性的な人手不足に陥っている。業務に追われて上司の目が届きにくくなっており、ストレスをためている職員も多いので、またトラブルが起きるのではないかと懸念されています」(同)
同町総務課によると、近年発生した懲戒処分は2022年度1件、2023年度1件。過去5年間の職員数、休退職者数の推移は別表の通り。退職者が一定数いるのが気になる。
矢吹町の職員数と休退職者数の推移
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
職員数 | 156 | 154 | 155 | 156 | 154 |
臨時職員・会計年度任用職員 | 102 | 57 | 66 | 83 | 78 |
うち教育関係短時間勤務職員 | 54 | 17 | 18 | 32 | 27 |
休職者 | のべ2 | 1 | のべ4 | 1 | 0 |
退職者 | 4 | 5 | 3 | 6 | 3 |
うち定年退職 | 1 | 2 | 2 | 1 | 0 |
同町では昨年9月、30代男性職員に対し、受給対象ではない住居手当を7年8カ月にわたり受け取っていたとして、戒告の懲戒処分を下している(本誌昨年10月号参照)。
さらに昨年11月には消防団の車両3台が車検切れの状態で最大6回、約30㌔運用されていたことも発覚している。
相次ぐ不祥事に打つ手なしの状態。どのように再発防止策を講じていくか、蛭田町長の手腕が問われる。