高市早苗首相は昨年12月に就任後初となる県内視察を行い、廃炉作業中の東京電力福島第一原発や中間貯蔵施設などを見て回った。その中で、除染土の最終処分と再利用に関する方針を示した。
県外最終処分と除染土再利用に言及
原発事故を受け、県内では放射性物質を取り除く除染作業が実施された。これによって発生した除染土壌は、双葉・大熊両町に設置された中間貯蔵施設に運び込み、30年間(2045年3月まで)、適正管理した後、県外で最終処分することが法律で決まっている。一方、国は管理しなければならない除染土壌の容量を減らすことで、県外最終処分を受け入れてもらいやすくしようと、放射性セシウム濃度が1㌔当たり8000ベクレル以下の除染土壌を公共事業などで使用する「除染土再利用計画」を進めている。
それがこれまでの政権でのおおまかな流れだが、高市首相の基本方針は「2045年までに県外で最終処分」という約束を守り、そのために「復興再生土(除染土再利用)を積極的に加速させる」というものだった。
具体的にはこうだ。
まず、これまで「2045年までに県外で最終処分」という目標はありつつ、具体的な手順が不透明だった。高市首相は視察後の会見で、「段階的に2030年以降の道筋(ロードマップ)についても示していきたい。そのことを新たに約束したい」と明言した。
政府の工程表(ロードマップ)では2030年ごろに最終処分場の候補地の選定や調査を始めるとされている。高市首相は段階的に30年以降の道筋についても示し、最終処分場の選定に向けたプロセスを具体化させる姿勢を見せた。
一方で、除染土再利用については、「復興再生土をしっかり活用していくことが大事」との見解を示した。除染土を単なる「廃棄物」ではなく、復興のための「資源」として活用することで、最終処分する土壌の総量を減らすことが重要との見解だ。
「除染土についての理解を深めてもらい、できるだけ活用してもらえるように取り組む」との方針だが、そこが一番難しいところだ。
というのは、実証事業を実施しようとしてもなかなか住民の理解が得られない。二本松市原セ地区の市道整備で路床材として用いる実証事業(詳細は本誌2018年7月号でリポート)、南相馬市小高区の羽倉地区周辺で、常磐道拡幅工事の盛り土に使う実証事業(同2019年2月号)などがそれに当たり、いずれも頓挫した。
県外でも、埼玉県所沢市と東京都新宿区で実証事業計画があったが、同様の理由で進んでいない。県外での実証事業は施工予定業者との契約が破棄になり、事実上の白紙状況になった。
実証事業が思うように進められない中、首相官邸の前庭で除染土再利用を行い、「本格運用」の最初の事例になった。
本誌で再三指摘しているように、除染土再利用によって管理しなければならない除染土の容量を減らしたところで、最終処分場を受け入れてもいい、というところが出てくるとは思えない。実証事業に反対した住民らは「除染土再利用は除染土を全国にばら撒くだけで、再生利用で使われたら、ずっとそこに残るわけだから、実質そこが最終処分場になる」と指摘していた。そうした批判は当然だし、今後、再利用を本格化しようとしても同様のことが起こるはず。そことどう向き合うのか。
一方で、最終処分場の選定に向けたプロセスを具体化させる姿勢を見せたことは前進と言える。

























