本誌8月号で「会津若松市議会議員の請負の状況の公表に関する条例」、「会津若松市議会議員の請負の状況の公表に関する条例施行規程」に基づく議員の請負状況についてリポートした。
地方自治法92条2項では、「普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない」と規定している。
要するに、地方議員は、当該自治体から仕事を受注している法人の役員などには就けないということ。これは、議員は当該自治体の発注業務について、情報収集などの面で優位なうえ、個人的な利益や特定の利害関係に影響され、公正性や公平性が保たれなくなるのを避けるため。
ただ、2022年12月に地方自治法改正案が成立し、ルールが緩和された(施行は2023年3月)。その内容は、年間取引額が300万円以下であれば、前述の兼業禁止には当たらないというもの。これによって、仕事を続けつつ議員に立候補しやすくなるというメリットがある。要は、議員のなり手不足解消が目的の法改正だ。
この法改正を受け、透明性を確保するため、議員に請負状況の申告を求める自治体も増えており、会津若松市もその1つだった。そのため、同市議会議員の請負状況を確認して記事にした。
詳細は同記事を読んでいただきたいが、県内には同市のほかにも議員請負状況の申告を条例で定めているところがある。本誌が調べたところ、郡山市、白河市、天栄村、石川町、浅川町、南会津町、北塩原村、会津坂下町がそうした制度を定めている。詳細は次のとおり。
郡山市▽2023年度請負分から制度スタート。2023年度、2024年度ともにゼロ。
白河市▽今年度に条例が制定され、来年度(今年度の請負分)から公表。
天栄村▽2024年度請負分から制度スタート。2024年度はゼロ。
石川町▽2024年度請負分から制度スタート。2024年度はゼロ。
浅川町▽2023年度請負分から制度スタート。2023年度、2024年度ともにゼロ。
南会津町▽2023年度請負分から制度スタート。2023年度は室井英雄議員から報告があり、請負内容は「コメの納入」、支払いを受けた金額は「3万8745円」だった。2024年度も室井議員から報告があり、請負内容は同じで、金額は「3万8956円」だった。
北塩原村▽2024年度請負分から制度スタート。2024年度はゼロ。
会津坂下町▽2023年度請負分から制度スタート。2023年度は山口享議員が請負内容「発電機点検・修理他」、金額「6万8220円」、五十嵐一夫議員が請負内容「防災設備定期点検報告他」、金額「73万8468円」で報告があった。2024年度もこの2人から報告があり、山口議員が請負内容「自転車タイヤ交換他」、金額「5万1450円」、五十嵐議員が請負内容「防災設備定期点検報告他」、金額「40万7000円」だった。
地方自治法改正以降、透明性を確保するため、議員に請負状況の申告を求め、公表する動きが広がっていることが分かる。
一方で、8月号でも指摘したが、「議員の兼業禁止」にはグレーゾーンがあり、それが黙認されてきた実態がある。法改正による緩和、それに伴う申告制度が広がっているのは結構だが、基準を明確にしてグレーゾーンをなくすことも必要だろう。
























