相馬福島道路が長期間の通行止め

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相馬福島道路が長期間の通行止め

 8月3日、相馬福島道路(東北中央自動車道)の法面の一部に崩落の恐れが確認されたとして、霊山インターチェンジ(IC)―伊達中央IC間(延長7・4㌔)が通行止めとなった。そこから1カ月近く不通が続き、利用者や近隣住民は不便な生活を強いられている。

災害に弱い「横軸」は相変わらず!?

災害に弱い「横軸」は相変わらず!?

 相馬福島道路は、東日本大震災を受けて「復興支援道路」として整備された。常磐道(相馬市)と東北道(桑折町)を結ぶ約45㌔の高規格道路(自動車専用道路)で、2021年4月に全線開通した。

 無料で走行できることもあり、相馬地方と県北地方を結ぶ主要道路として、物流、観光、医療などさまざまな用途で使われているが、そんな同道路の一部が斜面崩落により1カ月にわたり通行止めとなった。

 同事務所によると、現場は伊達市保原町大柳の下り線の法面で、5月ごろから一部が隆起し、8月3日ごろに崩落。現場は幅約30㍍、高さ約25㍍にまで拡大し、崩れた石などが散乱した。同事務所によると、法面に含まれる凝灰岩が地下水などを吸い込み膨張した後に乾燥したことで、崩壊しやすくなったのが原因とみられるという。

 同17日にようやく崩落が落ち着き、応急復旧工事に着手。9月10日ごろまでに完了する見通しだ。

 観光シーズンの夏休み期間に道路が寸断されたことで、大きな痛手を受けたのが、霊山ICに隣接する伊達市霊山町の道の駅伊達の郷りょうぜんだ。駅長の三浦真也さんは「客足、売り上げともに1割程度下がっている。道の駅にモモを納入している伊達町の生産者がいるが、通常は15分ぐらいで来られるのに通行止めで倍ぐらい時間がかかるため、1日の納品回数を減らすなどの対応を取った。そのため、商品数が少なくなり、売り場作りに難儀した面もありました」と語る。

 国道115号の旧道は、多数の線形不良箇所、異常気象時に通行止めを行う「事前通行規制区間」などがあり、大雨などの災害時に不通になりやすかった。2006(平成18)年には大雨による落石で約1カ月間の全面通行止めとなり、物流、生活、観光など、多方面に大きな影響が出た。

 そんな旧道に代わる道路として開通したのが相馬福島道路だったわけだが、2021年10月の令和元年東日本台風の時は、相馬市内の楢這トンネル付近で土砂崩れが発生したため、通行止めとなっている。

 昨年3月16日の福島県沖地震でも、段差などが発生したため通行できなくなり、伊達桑折ICから相馬ICまで行くのは困難だった(本誌2022年4月号参照)。

 要するに、災害時の弱さは何も変わっていないわけ。

 伊達市では昨年3月の福島県沖地震で阿武隈川に架かる国道399号の伊達橋が被災し、通行止めになった。それ以降、相馬福島道路は迂回路として使われていたが、それも通行止めとなり、伊達町在住の伊達市民はさらに影響を受けるなど二重の被害を受けた格好だ。ガソリン価格が高騰する中で、燃料が余計にかかる影響もあるだろう。

 同市ではイオンモール北福島(仮称)が開業を控えているが、相馬福島道路が頻繁に通行止めになるようでは客の流れに影響する。福島市と相馬市をつなぐ「横軸」の機能を強化する意味でも、真の意味で災害に強い道路が求められる。

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