さとう・たかし 1969年生まれ。日本大学工学部土木工学科卒業。91年に福島県入庁。高速道路室長、南会津建設事務所長などを歴任し、今年4月から現職。趣味はスポーツ観戦。
――4月に相双建設事務所長に就任しました。率直な感想をお聞きします。
「福島県に入庁して初任地となったのが相双建設事務所でした。再び相双地域に着任したことは嬉しいですね」
――震災・原発事故から14年が経過しました。双葉町・浪江町に福島県復興祈念公園を整備していますが、現在の進捗状況はいかがでしょうか。また、復興を後押しする「ふくしま復興再生道路」などの整備進捗状況はいかがでしょうか。
「福島県復興祈念公園は、東日本大震災による犠牲者への追悼と鎮魂や、震災の記憶と教訓を後世へ伝承し、国内外に向けた復興に対する強い意志の発信を目的に国と県とが連携して整備を進めています。
昨年12月には、管理棟の起工式が執り行われ、今年3月には橋梁下部工が完了するなど着々と整備が進んでいます。本年度の完成に向け、引き続き整備を進めていきます。
避難解除区域と周辺の主要都市を結ぶ『ふくしま復興再生道路』は、当管内では国道114号、国道288号、県道原町川俣線、県道小野富岡線の4路線13工区で整備を進めています。2路線9工区で既に供用を開始し、残る2路線4工区について整備を進めているところです。昨年11月末には、県道小野富岡線五枚沢2工区(富岡町・川内村)において、トンネルの掘削長が1000㍍に到達しました。
引き続き、早期供用に向け整備を進め、住民帰還や移住促進、地域の持続可能な発展につながるよう取り組んでいきます」
――今年度取り組んでいる重点事業を教えてください。
「当事務所では、災害復旧事業を314カ所で実施し、現在は中間貯蔵施設内の細谷地区海岸(双葉町)を残すのみとなりました。本年度の完了を目指し、引き続き整備を進めてまいります。
また、葛尾村から福島ロボットテストフィールドがある南相馬市や常磐自動車道浪江インターチェンジへのアクセス道路である、浪江三春線小出谷工区(葛尾村・浪江町)についても、2本のトンネルを含む全長5・5㌔のバイパスを整備しており、早期供用に向け、引き続き整備を進めていきます」
――今後の抱負を。
「本年度は、第2期復興・創生期間の最終年度に当たります。引き続き、国や市町村、関係機関と十分に連携し、スピード感を持って復旧事業に取り組んでいく所存です。
また、近年、自然災害は激甚化、頻発化しており、日頃からの備えが必要です。河川の治水安全度を高めるため、小泉川(相馬市)の改良復旧事業などの河川整備を進めるとともに、『防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策』の制度を活用し、河川堤防の強化を目的とした堤防天端の舗装や、河川の流下能力向上を目的とした河道掘削や伐木等を引き続き実施していきます。
終わりに、住民の安全と安心を第一に、復興と地域創生に熱意をもって全力で取り組んでまいります」