昨年1月末に閉鎖された北塩原村のラビスパ裏磐梯が泥棒被害にあった。5月1日に臨時議会が開かれ、村から議会に報告があった。後に本誌が村総務企画課に確認したところ、次のように説明した。
「最初に昨年11月に施設西側の窓ガラスが割られていることが分かりました。その時は被害は確認されませんでしたが、今年4月に機械室の配線がなくなっていることが判明しました。これを受け、専門業者に依頼し、現在は調査中です。同時に警察にも相談しており、いま実施している調査が終わり、被害状況が確定したら、正式に被害届を出すことになると思います」(村総務企画課)
最初に聞いた時は、閉鎖されたラビスパ裏磐梯に金目のものがあるのかと思ったが、機械室の配線(銅線)が盗まれたのだという。近年は銅線や銅板、グレーチング(側溝の蓋に用いられる金属製の網目状のもの)などが盗まれる被害が相次いでおり、その類いの窃盗と思われる。本誌取材時の5月上旬時点で、被害額などは調査中で、それが確定し次第、警察に被害届を出すという。
冒頭で述べたようにラビスパ裏磐梯は昨年1月末で閉鎖されたため、常時人が出入りしているわけではない。「昨年11月に侵入された形跡があり、その時は被害が確認されなかったが、後に機械室の配線がなくなっていることが分かった」というのは、最初の時点で被害が出ていたのか、あるいは二度泥棒に入られたということか。今後はその辺も明らかにされよう。
ところで、ラビスパ裏磐梯については、本誌昨年1月号、5月号で報じた。2023年12月議会で遠藤和夫村長が「ラビスパ裏磐梯を2024年1月末で事業停止、3月末で廃止にする」旨を明かしたことから、その背景などをリポートしたのが昨年1月号記事。同施設はオープンから30年近くが経ち、建物や内部設備の老朽化が課題となっていた。施設改修費用は10億円規模になると予想されたことから、議会で議論してきた中で「廃止」の方針に至った。
しかし、議会はそれを認めなかった。同施設が存在する根拠になっているのは村の「温泉健康増進施設条例」で、同施設閉鎖後の1月31日に開かれた臨時議会で同条例廃止案が提出されたが、議会はこれを賛成ゼロ(全員反対)で否決したのだ。
その後、昨年3月議会で再度、同条例廃止案が提出されたが、賛成4、反対5の賛成少数で否決された。
つまり、同施設廃止が二度にわたって否決されたことになる。これによって、施設は閉鎖しているが、条例上は存続しているという状況に陥り、それがいまも続いている。
そんな中で起きた泥棒事件だが、ある村民は皮肉たっぷりに、こんなことを指摘した。
「ラビスパ裏磐梯の現状は、遠藤村長は廃止したいけど、議会はそれを認めないという状況です。議会が廃止を認めない以上は存続させるしかありません。つまりは施設を再開させなければならないということです。そんな中で機械室の配線が盗まれる事件が起きました。遠藤村長からしたら、『再開させるのが困難だ』と言える理由ができた格好。これ以上は口にしないけど……何が言いたいか分かるよね?」
要するに「自作自演」と言いたいのだろう。さすがにそれは考えにくいが、今回の事件をそんなふうに見ている村民もいるということだ。