この冬は暖冬で、積雪が少なかった。それにより、多くのスキー場は例年並みの営業日数を確保できず、厳しい経営状況に陥った。
ある関係者は「今シーズンは新型コロナの感染症法上の位置付けが5類になり、規制がなくなって最初のシーズンだったので、それなりの期待はしていたが、この天候(積雪の少なさ)では……」と嘆いていた。
ほかにも、例年はスキー場でアルバイトをしていた人や、ウインターシーズンを見込んだ観光業関係者などに話を聞く機会があったが、「今年は厳しい」、「稼げない」と顔を曇らせていた。また、例年、県内ではさまざまなスキーの大会・記録会が開かれているが、今年は中止になったケースも少なくない。
「大きなスキー場はどこも人工降雪機を持っており、深夜に稼働させますが、気温が高いと『雪』にならず、『霧』になって終わりなんです。こう気温が高いと、人工降雪機でもどうにもならない。つまりはお手上げです」(ある関係者)
それだけ、多くのスキー場が雪不足に悩まされ、県内各地のスキー場では、オープンを延期したうえ、クローズを早めるところがほとんどだった。
ただでさえ、コロナ禍では客足が落ち、厳しい状況だった。そんな中でやっと普通に営業できると思ったら、記録的な暖冬でさらに追い打ちをかけられた格好だ。
それを象徴するように、民間信用調査会社「帝国データバンク」が発行している『帝国ニュース』(3月21日号)によると、昨年、全国のスキー場の倒産件数は7件で、過去10年で最多タイだったという。以下は『帝国ニュース』の関連リポートより。
《近年続く記録的な暖冬と雪不足があり、営業できない、または営業期間を短縮せざるを得ず、事業継続が困難となるスキー場が増加している。(中略)昨年12月に営業を開始した全国約300のスキー場のうち、半数超が今年3月中まで営業を予定していた。ただ、雪不足からゲレンデの一部をクローズするといった対応が目立つほか、東北以南では2月までに営業を終了したスキー場もみられた。新型コロナが5類に移行して初めてとなるフルシーズン営業にかける期待も大きかっただけに、雪不足に意気消沈したスキー場は少なくないとみられる》
こうして見ても、厳しい状況だったことがうかがえるが、そんな中、「今シーズンは良かった」と語るのが北塩原村の裏磐梯地区の関係者。
「裏磐梯地区も例年に比べたら雪が少なくて、スキー場の営業日数も多少は短くはなりましたけど、他地域ほど影響はありませんでした。むしろ、近隣のスキー場が営業できないような状況だったため、休日などはどこも盛況でした」
この関係者によると、「あるスキー客に聞いたら、『いつもは近県や猪苗代、南会津などに行っていたが、(それらが営業していない、あるいはゲレンデの状況がよくないため)今年初めて裏磐梯に来た』という人もいました。この辺では、裏磐梯の一人勝ちのような状況だったのかもしれませんね」という。
裏磐梯地区はそれなりに積雪があり、他地区に比べると、営業日数も確保できたため、むしろ人気だったというのだ。
今年はたまたま暖冬、雪不足だったのか、それとも温暖化によりこれからはそういうシーズンが増えていくのか。それによってスキー場のあり方も変わってきそうだ。