【福島県WOOD.ALC推進協議会】

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【福島県WOOD.ALC推進協議会】

地元杉材を使用した建材で低炭素社会に貢献

 建築物に用いられるWOOD.ALC(ウッドエーエルシー)という構造物をご存知だろうか。

 「低炭素社会(Attain Low CarbonSociety)を達成させる木材」を意味する木質パネルで、間柱状に製材、乾燥した杉材を接着した集成材だ。厚さ12㌢、幅45㌢、長さ3・0~4・0㍍の厚板で、建築素材として求められる木材独特の柔らかな色合い、優れた断熱性能、吸音性に加え、高い防耐火性も兼ね備える。

 住宅はもちろん、学校、幼稚園、老人介護施設などに最適な建材で、飲食店、オフィスなど癒しが求められる建物に用いて、市街地に木の安らぎ空間をつくることも可能だ。

 日本は、先進国の中では珍しく、豊かな森林資源をもつ森林大国で、国土の約8割が山林である。一方で、木材の輸入自由化から約50年が経過する中、木材価格は安い輸入材に圧迫され、日本の林業は衰退の一途を辿っている。

 森林は木の成長に合わせて適度に伐採して利用することが、持続可能な森林資源の再生に不可欠だ。日本の人工林の多くは終戦後に植えられたものが大半を占めており、植林から40~50年経ち、早急に伐採と利用の促進をしなければ、森林全体が光や風の入らない不健康な山になる。

 そうした中、藤田建設工業(棚倉町)では、「戦後植えられた木の中でも最も森林面積の多い杉の木をもっと利用促進できないか」と検討を重ね、WOOD.ALCとして活用する方針を打ち出している。

 追い風となったのは、2010年に公共建築物木材利用促進法が制定されたこと。同法では低層の公共建築物は原則木造化を図り、低層、高層にかかわらず内装等の木質化を促進することが義務付けられている。

 建築物の壁などに木材を使用するには、防耐火性能を満たすことが求められるが、WOOD.ALCは厚さを12㌢とすることで、火を通しにくくしている。2011年には改正建築基準法に基づく準耐火性能評価試験を受け、国土交通省の認定を得た。これによりWOOD.ALCを大型建築物での外壁、床板、防火区画を兼ねる内壁に使用できるようになった。

 木材は、光合成によって空気中のCO2 (二酸化炭素)を体内に吸収し、閉じ込めることから〝CO2を固定化する〟と言われている。日本の森林が吸収するCO2は年間約1億㌧であり、国内すべての自家用車が排出するCO2の7割に相当する。同社の調査では、国産杉林1平方㍍当たりの吸収固定化するCO2の量は0・59t―CO2となる。国産杉を利用すればするほど、CO2の削減枠に貢献すると言っても過言ではなかろう。

 2015年には藤田建設工業の藤田光夫社長(当時)が事業管理者となり、会津土建(会津若松市)、菅野建設(福島市)、協和木材(塙町)の4社で福島県WOOD.ALC協議会を設立した。現在は加盟企業10社を数え、各社で連携を図りながらWOOD.ALCの普及活動と技術開発に鋭意努めている。

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