政経東北|多様化時代の福島を読み解く

【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー

【飯舘村】杉岡誠村長インタビュー

 1976年生まれ。日大理工学部卒。東京工業大大学院理工学研究科博士前期課程修了。飯舘村農政第一係長などを経て2020年10月の村長選で初当選。

 ――蕨平地区で「飯舘みらい発電所」の建設が進められています。

 「飯舘みらい発電所は、『飯舘バイオパートナーズ』が事業実施主体となって建設・運営をするもので、出力7500㌔㍗、年間売電量5300万㌔㍗時(一般家庭約1万7000軒相当)規模を計画しています。使用燃料は村内間伐材のほか浜通り地域を中心に県内の間伐材や製材の過程で発生するバークなどを年間9万5000㌧使用する計画です。これにより、村内をはじめ県内の森林整備が促進され、里山再生や林業活性化、経済効果、脱炭素社会の推進などに貢献できると期待しています。また、村では発電所からの排熱を利用した『未来志向型農業』として新たな農業展開にも期待しているところです」

 ――2022年9月23日から特定復興再生拠点区域の準備宿泊が始まるなど、避難指示解除に向けた取り組みが進められています。

 「長泥地区の特定復興再生拠点区域は来春解除を目標に協議や準備を進めています。避難指示解除に当たっては、引き続き住民の皆様のご意見をうかがいながら、国・県各関係機関と協議を進めていきます」

 ――移住・定住促進に向けて新規就農者向けの研修宿泊施設の整備が進められています。

 「新規就農者向け施設はまだ構想段階ですが、移住・定住促進事業として、7月に『いいたて移住サポートセンター』を開所しました。これは、民間事業者のノウハウを生かし、さらなる移住を推進するほか、交流・移住の最初の窓口対応を担うためのものです。また、8月、9月に村主催で初めて移住体験ツアー『ミチシル旅』を実施しました。第3回目は11月26日から27日に予定しています」

 ――その他重点事業について。

 「被災から11年半以上が経ち、飯舘村は『選んで住む、住み直す』場所になっています。一方で純農山村として農畜産業が主幹産業の本村ですが、高い技術、経験を必要とする農畜産業以外にも、あらたな意欲的な取り組み、『なりわい』の創出を支援しています。具体的には、木質バイオマス発電事業等による関連産業の強化発展、企業誘致による雇用の場の確保と併せ、商工業分野における『起業』を支援しています。また、ハンドメイド作品の販売など、小規模に事業をスタートさせたい方を支援する『スタートサポート補助金』というメニューも準備し、村でなりわいを興すにあたって細かなニーズに合うように組み立てました。福島県創業促進補助金や自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金など、事業活用希望者への支援も継続して行っており、強力な『なりわい』の創出を推進しています」

飯舘村ホームページ

政経東北【2022年11月号】

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