本誌昨年4月号に「職員退職続出、事務所移転問題、役員改選間近…… 相馬地方森林組合で不穏な動き」という記事を掲載した。
きっかけはその数カ月前に、「同組合で職員の退職が相次いだ」との情報が寄せられたこと。取材を進めると、職員退職が相次いだのは間違いなかったが、退職した職員でそれぞれ事情が違う部分もあり、「内部のこういうところに問題があるから職員退職が相次いだ」と断定できるような理由には辿り着けなかった。
一方で、関連取材の中で、ある理事は「職員退職とは別に、いま組合では事務所移転の問題があり、いろいろな不満や意見の相違が出ている」と証言していた。
相馬地方森林組合は、相馬市、南相馬市、新地町が事業エリアで、南相馬市原町区に本拠(組合事務局)、同市鹿島区に製材工場がある。組合事務所は老朽化のほか、駐車スペースが少ない、製材工場と分かれているのは不便などの理由から、移転案が浮上し、製材工場隣接地に事務所移転することを理事会で決定。そのための敷地も確保しており、この間、積み立てもしてきた。ただ、昨今の資材や建築単価の高騰により、現在、事務所移転計画はストップしている状況。
これに対し、理事間で「理事会で決まったことなんだから、早急に事業を進めるべき」という意見と、「資材・建築単価が高騰しており、積立金ではまかないきれない。もう少し様子を見るべき」という意見で割れているというのだ。
こうした状況に、ある関係者は当時「そういう情報が『政経東北』に寄せられるのは、内部の主導権争いが関係している」と話していた。つまりは、職員退職が相次いだこと、事務所移転計画が進まないことを必要以上に問題視して、いまの役員の責任を追及する動きになっているということだ。
一方で、この関係者は「そういう側面(内部の主導権争いで、必要以上に事を大きくして、現役員を追及する動き)はあるにしても、職員退職が相次いでいるのは異常だし、現在の多田穣治組合長がそういった課題に対処できていないのも事実」とも話していた。
そんな同組合に関して、3月上旬、「組合員」を名乗る人物から投書が寄せられた。もっとも、そこに記されていたのは、いまの役員になってから職員退職が相次いだことと、多田組合長では立て直しが難しいということ。前段(本誌昨年4月号)で紹介したことの蒸し返しのような内容でしかない。
前回取材時に証言してもらった関係者に話を聞くと、「今年は役員改選だからでしょう」という。
同組合の理事は14人で、相馬市4人、南相馬市原町区3人、同市小高区3人、同市鹿島区2人、新地町2人と、各地区のバランスを考慮して選任されている。理事互選で組合長、副組合長、筆頭理事が選ばれる。役員任期は3年で、組合長以外は非常勤。
今年は役員改選の年で、各地区で理事候補者を選び、5月に行われる同組合の総会で承認されれば、理事が決定する。その後、理事会を開き、組合長、副組合長、筆頭理事を選任するという流れ。
昨年4月号記事掲載時に「来春の役員改選まではいろいろと騒がしい状況が続くのではないか」と書いたが、まさにそんな状況で、前出の関係者の言う「内部の主導権争い」が激化していることをうかがわせる。