2月17日付の地元紙にこんな記事が載った。
《全国各地の消防本部や消防署で2023年度に暴力や性的嫌がらせなどハラスメント行為が少なくとも176件発生し、幹部級を含む206人が懲戒処分されていたことが16日、総務省消防庁による初の実態調査で分かった》
《(ハラスメント加害者は)組織の中堅が大半で、人口10万人未満の地域の消防署長などに相当する消防司令と、その一つ下の階級の消防司令補で合わせて60%を超えた》
《年代は50代が最も多く、以下、40代、30代の順。発生場所は、執務室が107件と大半だった。食堂や車内、ガレージ、訓練室のほか、飲食店でも起きていた》(以上、福島民報より抜粋)
本誌も昨年6月号と今年1月号で相馬地方広域消防本部のハラスメント問題を報じたが、ここに挙がった階級や年代は、まさに同本部の加害者たちにも該当する。
50代は自分たちが若いころ、上の世代から陰湿ないじめ・嫌がらせを受けてきた。「ハラスメント」という概念がない時代の話だ。その50代が上司になり、自分たちが受けた仕打ちを改めるのではなく、後輩に繰り返した結果が今日の悪質な事態につながっている。
そういう意味では「真の加害者」は60代以上のOBと言っても過言ではないが、50代の多くが「後輩には同じ思いをさせたくない」との思考に至らなかったこともまた、冒頭の調査結果につながっている点も見過ごしてはいけない。
このまま放置すれば若い人材が消防職員を目指さず、人手不足と現役職員の高齢化から防災力低下は避けられないだろう。時代錯誤のハラスメントは即刻やめるべきだ。