「交通事故の後遺症で体が動かなくなり、生活が行き詰まった」と役場職員に相談した際の対応に不手際があったとして、猪苗代町民と町役場がトラブルになっている。
町民Aさんは70代の元自営業(料理人)。国民年金だけでは食べていけないので60歳を過ぎてからも働き続けていたが、数年前に交通事故に遭い、身体障害が残った。家計が苦しくなったため、町役場に相談したところ、総務課担当者から「障害年金を受給したり生活保護を受ける手がある」とアドバイスされたという。
生活保護を受けるのに抵抗があったAさんは障害年金を受けるため、町内の医療機関に通い身体障害が残っているという診断書をもらい、生活保護などの窓口である保健福祉課に申請書と合わせて提出した。障害年金の担当部署は隣の町民生活課だったが、保健福祉課の担当者が代わって診断書などを受け取り、Aさんに「これを読んでおいてください」と障害年金に関するガイドブックを渡した。これらのやり取りでAさんは障害年金の手続きが完了したと思い込んだ。
ところが、実際には65歳以上は老齢基礎年金の受給対象者となるので障害年金とダブルでもらえないことになっており、Aさんは受給資格者ではなかった。ガイドブックは「まずはこれを読んで制度について学んでから来てください」という意図で渡されたものだったようだ。
8月15日の年金受給日、Aさんが口座を確認したら、期待していた年金が入っていなかった。そこで町に「どうなっているのか。障害年金の手続きを進めてもらうという話ではなかったのか」と問い合わせた。その後町の担当者は5回にわたりAさんへの謝罪・話し合いを続けている。
本誌の取材に対し、Aさんは「ガイドブックを渡されて『これを読んでくれ』だけでは分からない。きちんと説明をしてほしかった」と話す。
一方、町の渡部昭副町長は「常々職員には『町民に対し丁寧に対応してください』とお願いしているが、ちょっと窓口での説明が足りていなかった部分があると考えています。最初の時点で本来の障害年金の担当部署である町民生活課に案内するべきだった」と不手際を認めた。
Aさんはただでも生活が困窮している状態なのにさらに余計な手間がかかったとして、二瓶盛一町長本人の謝罪など〝誠意のある対応〟を町に求めているが、町はひとまず話し合いを重ねて理解を得ようとしている。
二瓶町長も一連のトラブルを把握しているとのことだが、果たして今後、どのような展開になるのか。