本誌昨年11、12月号で猪苗代町の箕輪スキー場について報じた。昨年10月に同スキー場の今シーズンの営業が危ぶまれているということが表面化したため、その詳細をリポートしたのが昨年11月号記事である。その後、正式に「営業断念」が決まり、12月号では来シーズン以降の見通しについて報じた。
その中で指摘したのは「最終的にはISホールディングスグループ頼みではないか」ということ。同グループの代表・遠藤昭二氏は猪苗代町出身。証券事業やFX取引などのISホールディングスを筆頭に、いくつかのグループ企業がある。そのうちの1つに猪苗代スキー場や会津磐梯カントリークラブ、猪苗代観光ファーム(道の駅猪苗代隣接地のいちご園)などを運営している「DMC aizu」がある。
同社(ISグループ)に引き受けてもらうことが唯一の存続の道と思われ、関係者によると、「実際にその動きがあったが話がまとまらなかった」という。
ただその後、「ISグループが取得するのではないか」といった話が再浮上した。
「箕輪スキー場とホテルプルミエール箕輪の入り口はバリケードで封鎖され、スキー場のレストハウスやホテルは鍵がかけられている。両施設の鍵はブルーキャピタルマネジメントの担当弁護士が持っているそうだが、昨年末から今年にかけ、ISグループの従業員が鍵を借りて何度か中に入っている。水道の凍結対策などを行ったようだ」(ある関係者)
さらにはこんな話も。
「箕輪スキー場はISグループで運営することになるだろう。一度、町で経営権(ブルーキャピタルマネジメント所有の株式)を取得し、その後、ISグループに譲渡する格好になると思う」(町内の事情通)
実は、同町内には同じような形でISグループが取得したスキー場がある。2020―2021年シーズン以降、営業停止していた猪苗代リゾートスキー場だ。同スキー場は、京急グループと猪苗代町の共同出資によって1985年に設立された運営会社が、隣接するホテルを含めて運営していた。ただ、その運営会社は2003年に解散し、以降は営業権譲渡が繰り返され、コロナ禍に見舞われた2020―2021年シーズンから営業していなかった。
その後、町(第三セクター・猪苗代地域開発)が同スキー場とホテルを取得し、2023年12月までに「DMC aizu」に譲渡された。
当時、ある関係者はこう話していた。
「遠藤さん(ISグループ)は、以前から猪苗代リゾートスキー場を引き継いでもいいとの意向だった。ただ、同スキー場は事業譲渡が繰り返される中で、最終的にはあまり素性のよくない会社に渡ってしまった。遠藤さんは『そういう会社と直接的な取引は絶対しない』というポリシーを持っていたため、一時的に町が取得して、町から遠藤さんに売却する形になった」
箕輪スキー場運営会社のブルーキャピタルマネジメントも「ISグループが直接的な取引をしない」類いに入るため、一度、町で取得してくれるなら、その後を引き受けるのは構わないとの意向なのだという。この話が事実とすると、箕輪スキー場は猪苗代リゾートスキー場と同じような形でISグループが取得・運営し、再開を目指すことになろう。