昨年5月号で「議会で是非が問われた白河市長の海外視察 独自解釈で反対討論に圧力をかけた副市長」という記事を掲載した。
白河市議会(定数24)の昨年3月定例会で、2025年度一般会計当初予算案が19対4の賛成多数で可決された。採決の際の「反対討論」で問題視されたのが、農業法人参入促進事業費として計上された旅費415万円だ。オランダで開かれる農業関連の見本市視察を想定したもので、鈴木和夫市長と市職員合わせて3人分の予算だった。
大木絵理市議(2期)は総括質疑で初めて旅費についての事実を知り、すでに一般質問も終わっていたため、共産党議員以外では異例となる反対討論を実施。壇上で「わざわざオランダの見本市に行く必要があるとは思えない」、「オランダ型農業は日本でも取り入れられており、そこを視察すればいい」と主張した。「物価上昇で家庭では節約して何とかやりくりしている中、市民感覚とずれていると感じる。農家も苦労しているのに、農林水産部の予算を3人分の旅費として使うことにも疑問を抱きました」。反対討論をした理由について、大木市議はこのように明かした。
取材を進めたところ、一般会計当初予算案に疑問を呈そうとする大木市議に対し、石名国光議長(6期)が考え直すように説得し、井上賢二副市長が議会に対し「一般質問や質疑でただすことなく討論で一方的に反対意見を表明するのは執行部として承服しかねる」と申し入れしていたことも分かった。
記事ではこれらの経緯や専門家のコメントを紹介した。
騒動から間もなく1年経つが、鈴木市長はオランダで開かれた農業関連の見本市を視察したのか。市農政課に確認したところ、結局、オランダ視察は取りやめになったという。
「見本市は6月の予定でしたが、物価高に加えて米国トランプ政権の関税措置の影響が注目されており、市の方でも対策が必要ではないかと議論していた時期だったので、鈴木市長が海外視察に行くのは難しいと判断した次第です」(市農政課)
市議会昨年6月定例会の一般質問で、大木市議があらためてオランダ視察の必要性についてただしたところ、深町洋介産業部長は次のように答弁した。
「オランダ企業の誘致を目的としたものではありません。世界最先端の農業大国であり、産学官連携の仕組みがあるオランダを視察することで、農業法人の参入促進や農政全体の政策形成に資する知見を得ることが目的。オランダのメーカーや、農業法人と関係の深い日本企業と意見交換し、将来的な連携や誘致につながる関係づくりの場とすることも視野に入れています」
日本国内の見本市・視察では、代理店や営業担当者を通じた限定的な情報取得にとどまりがちだが、オランダの現地に足を運ぶことで、農業法人や研究機関、行政関係者らと直接意見交換ができる――。オランダ視察のメリットをこのように説明していた市執行部だったが、結果的に視察は見送られることになったわけ。
計上したものの使われなかった予算の扱いや新年度の海外視察計画の有無については取材時点でまだ決まっておらず、新年度予算案の策定や市議会3月定例会での議論を経て決定する見通しだ。
本誌でたびたび報じている通り、現在5期目の鈴木市長は市役所内部のことだけでなく、議長人事や議員の活動についても〝注文〟を付けるようになっている。その意向を受けて、周囲も執行部に反対するような意見には敏感に反応しているようなので、3月定例会の展開によってはまたひと悶着あるかもしれない。

























