郡山市日和田町で来春オープン予定のイオンモール郡山をめぐり、シネマコンプレックス(シネコン)計画の行方に関心が集まっている。これまで本誌でもたびたび報じてきた通り、施設内へのシネコン導入は一時、市内で既定路線のようにウワサされた。出店事業者向け説明会の資料でもフロア構成の一角に「シネマ」と示されていたことがネットで拡散され、期待感が高まった。一方で、イオン側は「あくまで検討段階」との立場を崩しておらず、現時点で確定的な計画は示されていない。
シネコンは、ショッピングセンターにとって強力な集客力があり、週末や夜間の来館動機を生み出し、飲食や物販への波及効果も期待できる。そのため全国各地の大型商業施設で導入が進んできたが、近年は事情が変わりつつある。建設費の高騰だ。
映画業界関係者は次のように語る。
「かつて1スクリーンあたり1億円前後とされた整備費は、資材価格や人件費の上昇で、その倍以上でも不思議ではないといわれています。投資回収のハードルは格段に上がっており、全国的にも新規シネコン計画は慎重論が強まっている。ただ、イオンモールに関しては『それでも集客の目玉としてシネコンを整備すべきだ』という考えも残っており、シネコンを運営するイオンエンターテイメントを含め、内部でせめぎ合っている状況のようです。イオンモール郡山に関しても、同じような状態になっていると考えられます」
この関係者によると、『鬼滅の刃』や『名探偵コナン』などのアニメ作品が人気を集める中で、大スクリーンや大音響で作品を楽しめる映画館を求める住民は多い。そのため、全国のイオンモールでは後からシネコンを〝後付け〟する事例もみられる。
実際に2023年7月にはイオンモールとなみ(富山県砺波市)の大型店退去スペースに、従来よりコンパクトなサイズのシネコン「イオンシネマとなみ」を開業している。シネコン誘致に合わせて、自治体が優遇策を設けるなど積極的に動いた事例もあるという。
「そう考えると、一旦はゲームセンターやアミューズメント施設として整備し、需要の見極めを行いながら、シネコン待望論が膨れ上がった段階で満を持して進出することも考えられます」(同)
ちなみに、本誌昨年7月号では「イオンモール伊達にシネコン計画浮上!?」という記事を掲載したが、この映画業界関係者によると、イオンモール伊達に関しても、「いずれシネコンを整備したい派」と「シネコンを作っても採算が取れない派」がせめぎ合っており、ひとまずシネコンなしで整備を進めたのではないか、と推測する。
中東情勢の悪化により燃料費が高騰しているが、今後もこの状況が続くことで、輸送コストや建設資材価格のさらなる高騰につながる可能性がある。すでに逼迫している建設業界の人手不足と相まって、工期の長期化やコスト増に拍車がかかることで、シネコン計画そのものの採算性は一段と厳しくなるだろう。
一方で、郡山市内ではシネコン不足が長年指摘されてきた。市内には老舗映画館のテアトル郡山があるが、上映作品に制約があり、市民が福島市や県外まで足を運ぶケースも少なくないため、シネコン導入を望む声は根強い。
施設の運営主である日和田ショッピングモールに問い合わせたところ、「テナント内容は固まった段階で発表する」とのことだったが、大枠の計画は決まっているだろう。果たして郡山市民待望のシネコンがオープンする日は訪れるのか。
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