【郡山市】「4年連続ごみワースト1」からの脱却

ごみ排出量中核市ワースト1――そんな不名誉な称号を持つ郡山市。2020年から4年連続で、1人1日当たりのごみ排出量が中核市ワースト1だった。このため、市では汚名返上に向けた取り組みを展開している。3月27日には環境省から最新の数値が公表されたが、ワースト1から脱却できたのか。

2027年までに20%減の目標達成は不透明

環境省は毎年、一般廃棄物の排出・処理状況の調査を実施し、その結果(一般廃棄物処理実態調査結果)を公表している。最新の2024年度版は今年3月27日に公表された。

それによると、国内全体のごみ総排出量は3811万㌧(前年度比2・2%減)、1人1日当たりのごみ排出量は839㌘(同1・5%減)だった。都道府県別に見てみると、福島県の1人1日当たりのごみ排出量は953㌘で、前年度から15㌘減ったものの47位、すなわち最下位だった。

このデータからも分かるように、福島県は「ごみ大国」なのである。そんな中でも、郡山市は2020年度から2023年度まで、4年連続で中核市ワースト1という不名誉な記録を打ち立ててしまった。

これを受け、市は2024年11月に改定した「郡山市一般廃棄物処理基本計画」の中で、「2027年度までに2016年度比のごみ排出量を20%削減」という目標を掲げた。具体的には、2016年度1215㌘だったのを2027年度970㌘に減らすという目標だ。

それを達成できたとしても、前述した2024年度の全国平均(839㌘)よりかなり多い。だが、まずはその目標達成のため、「郡山 ごみ減量 20%」のスローガンのもと、「中核市ワースト1位返上に向けたロードマップ」を作成した。それに基づき、生ごみの水切り、食ロスの削減、リサイクル・分別の徹底などを呼びかけ、ごみ減量化に取り組んでいる。

別表(次々頁)は、環境省公表の一般廃棄物処理実態調査結果をもとに、中核市62市の2023年度と2024年度の1人1日当たりのごみ排出量をまとめたもの。

都道府県市町村総人口(人)1人1日当たり排出量(グラム)1人1日当たり排出量(グラム)
2023年度2024年度
北海道函館市237,2851,0991,077
北海道旭川市317,167909908
青森県青森市264,321985965
青森県八戸市215,747936935
岩手県盛岡市277,959927909
秋田県秋田市294,397948928
山形県山形市234,609886882
福島県福島市265,3381,014996
福島県郡山市312,9651,1021,074
福島県いわき市317,814939927
茨城県水戸市267,772985981
栃木県宇都宮市514,490874872
群馬県前橋市329,281878875
群馬県高崎市366,351890884
埼玉県川越市352,673777778
埼玉県川口市607,651749737
埼玉県越谷市342,397779760
千葉県船橋市649,489802780
千葉県柏市437,390808803
東京都八王子市559,809698691
神奈川県横須賀市380,313796787
富山県富山市404,401984946
石川県金沢市443,468889880
福井県福井市254,333842836
山梨県甲府市183,906982976
長野県長野市363,145850846
長野県松本市234,410942935
岐阜県岐阜市399,130859843
愛知県豊橋市366,456878891
愛知県岡崎市381,638876805
愛知県一宮市377,234813793
愛知県豊田市415,286847827
滋賀県大津市343,609743721
大阪府豊中市405,423766752
大阪府吹田市384,302773765
大阪府高槻市346,021828816
大阪府枚方市392,736739724
大阪府八尾市259,499766759
大阪府寝屋川市224,609773756
大阪府東大阪市478,187953927
兵庫県姫路市521,074878855
兵庫県尼崎市457,549799775
兵庫県明石市307,183818798
兵庫県西宮市482,423820815
奈良県奈良市347,737791783
和歌山県和歌山市353,601856848
鳥取県鳥取市179,670933913
島根県松江市194,592957944
岡山県倉敷市471,985983935
広島県呉市202,341896883
広島県福山市455,444854836
山口県下関市244,040982958
香川県高松市417,868850833
愛媛県松山市497,367732724
高知県高知市313,008949967
福岡県久留米市300,242845832
長崎県長崎市388,261933922
長崎県佐世保市233,857947924
大分県大分市473,157895864
宮崎県宮崎市394,899920917
鹿児島県鹿児島市591,607892875
沖縄県那覇市313,385838850


2023年度のワースト順位は以下のとおり。

①郡山市▽1102㌘

②函館市▽1099㌘

③福島市▽1014㌘

④青森市▽985㌘

④水戸市▽985㌘

前述したように、郡山市は2020年度から4年連続でワースト1だった。福島市もワースト3で、県内2市がワーストクラス。いわき市はワースト5には入っていないが、中核市平均875㌘を上回る939㌘となっている。

郡山市の詳細を見ると、事業系ごみが395㌘で中核市55位、生活系ごみが707㌘で同61位、合計1102㌘で同最下位(ワースト1)となっている。

市ごみ減量推進課によると、「東日本大震災、令和元年東日本台風、令和2年台風19号、令和3年と4年の福島県沖地震など、災害があると増える傾向にある」という。

当然、災害が発生すると「災害廃棄物」が出てくるが、それはここで示した「一般廃棄物」の数値には含まれない。それでも、災害によって一般廃棄物が増えるのは、いくつか要因がある。

例えば、被災後の片付けの際、直接的に被害を受けていないものでも、「この際だから捨ててしまおう」といった心理が働きやすい。ほかには、断水・停電などがあると、衛生面を考慮して使い捨ての容器、割り箸、ウェットティッシュなどの使用が増える。また、停電により、冷蔵庫・冷凍庫で保管していた食料品が腐敗し、ごみ化してしまうこともあるだろう。

こうした諸々が一般廃棄物を増やすと同時に、ごみ減量の意識を停滞させるようだ。

いずれにしても、郡山市は全国平均、中核市平均を大きく超えるごみ排出量となっている。ちなみに最も少ないのは八王子市で698㌘。郡山市とは404㌘も違う。

1位は免れたが……

啓発動画に出演する椎根市長(中央、市の啓発動画から切り取り)
啓発動画に出演する椎根市長(中央、市の啓発動画から切り取り)

一方、2024年度のワースト順位は以下のとおり。

①函館市▽1077㌘

②郡山市▽1074㌘

③福島市▽996㌘

④水戸市▽981㌘

⑤甲府市▽976㌘

ワースト1の連続記録は4年でストップし、かろうじて不名誉を回避できた。といっても、ワースト2で、以前として高い水準。「ワースト1でなくなっただけ」に過ぎない。福島市も相変わらずの順位だった。

この結果を踏まえ、本誌は4月中旬、郡山市ごみ減量推進課を取材した。担当者によると、「こちらの都合で申し訳ないのですが、月末の会見で椎根市長から、この件についての説明があります」とのこと。

椎根市長から直接、この間の取り組みの中間総括や今後の方針などについての説明があるので、それまで待ってほしいというわけ。

本誌は締め切りの関係上、椎根市長の会見を取材できていないが、ワースト1は脱却できたものの、「2027年度までに20%削減」という目標からすると、もう少し減少幅を大きくしたかったというのが本音のようだ。

椎根市長はこの問題を重要課題と位置付けていることがうかがえる。新年度の組織再編では、担当部署を「5R推進課」から「ごみ減量推進課」に改称した。リフューズ、リデュース、リユース、リペア、リサイクルの5Rを推進するという組織から、明確に「ごみ減量を推進する」ということを打ち出した格好。さらには、椎根市長自ら市制作の啓発動画に出演して「♫ワーストワンから さぁ脱出だ!」と歌っている。

一方、椎根市長の会見(説明)前の時点での市民の反応は「市外の人から、『郡山市はごみ排出量がワーストなんでしょ』と言われて恥ずかしかった」、「同規模自治体(ほかの中核市)と、なぜこうも違うのか」との声があった。

そのほか、市民の関心が高いのがやはり「ごみ処理の有料化」や「ルール違反への厳格対応」が実施されるのか、ということだ。

これについては、「有料化、ルール違反者への厳格対応が実施されないと減らない」といった意見がある一方で、「物価高の中でさらなる家計への負担は厳しい」といった声がある。

前述したように、市は一般廃棄物処理基本計画の中で「2027年度までに2016年度比のごみ排出量を20%削減」という目標を掲げている。2024年度が1074㌘で、目標が970㌘だから、あと104㌘減らす必要がある。2024年度は前年度比28㌘減だったから、このペースだと目標には届かない。目標が達成されなければ、「ごみ処理の有料化」や「ルール違反への厳格対応」などが検討されることになろう。2025年度は終わっており、どれくらい減らせたかは分からないが、実質、あと2年間で結果を出さなければならない。この間の動向を踏まえると簡単ではないだろう。

もっとも、重要なのはワースト1から脱却することでも、ワーストランキングの順位を改善することでもない。なぜ減らさなければならないのかを明確にして、そのための意識を共有することだ。

減らさなければならない理由の1つは、環境負荷の軽減だ。これは長期的な課題として取り組まなければならない。

2つは財政負担の抑制。市一般廃棄物処理基本計画によると、2021年度のごみ処理費用(清掃費)は66億3465万円で、市の予算の4・3%を占めている。これが抑制できれば、教育・福祉など別な部分に予算を投じることができる。

3つは市のイメージ。前段で「市外の人から、『郡山市はごみ排出量がワーストなんでしょ』と言われて恥ずかしかった」との市民の声を紹介したが、「環境意識が低いまち」、「行政の取り組みが遅れている」、「生活マナーが悪い」といったイメージを持たれかねない。「中核市ワースト1」というような不名誉な称号があればなおさらだ。

データが示すように、2024年度の郡山市のごみ排出量は1074㌘となり、5年連続のワースト1という最悪の事態は免れた。とはいえ、ワースト2位。この現実は、依然として全国平均(839㌘)を大きく上回る「ごみ大国」であることを浮き彫りにしている。福島市もワースト3にランクしており、県内主要都市の環境意識が問われている。

ごみ問題は日々の生活に直結している。それだけに「自分は生ごみの水切りや分別などを徹底しているのに、ほかの人がちゃんとやらないから」というような、小さな不満や不公平感が生まれやすい。半面、全市民が必死に取り組めば、改善の成果も実感しやすいはず。だからこそ、行政と住民が意識を共有し、「自分ごと」として取り組んでいく必要がある。

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