福島の新聞部数減を読み解く【2025年版】

福島の新聞部数減を読み解く【2025年版】

福島県の地元紙筆頭の「福島民報」が2025年になって20万部を切った。もう一角を担う「福島民友」は13万部に落ち込んだが、市部では堅調で減少ペースは落ち着きを見せている。全国紙の中では、県内で最も部数が多かった読売新聞の減少ペースが極めて大きく、朝日新聞にその座を明け渡した。今年4月1日時点の県民人口は約170万人。講読料以外の生きる道を探る。

20万部を切った「民報」の生きる道

※福島民報の本社(左)と福島民友の本社(右)

本誌は検証記事「福島県の新聞部数減を読み解く」を掲載してきた。部数減が必至の中、地元2紙はかねてからつながりの深い県のイベント事業を受注し、購読料や広告料以外の収入に活路を見いだしている(2月号「新聞部数減を補う県からの受託事業

民報・民友に『広告化』した記事が散見」)。特に、県の仕様書からは、原発事故やその廃炉作業に伴う処理水の海洋放出で生じた風評被害の懸念を払拭するために国や県が委託した広報事業が、地元メディアにとって商機になっていることが分かった。

行政機関から受託する事業に力を入れざるを得ないのは、購読料で経営が支えられなくなっているからだ。新型コロナ禍前の2019年10月に24万部だった福島民報は収束後の2024年10月には4万部(約17%)減り、さらに翌25年4月には20万部を切った。19年10月に17万部だった福島民友は3万部(約20%)減らし、13万部台に落ちた。地方紙、全国紙を合わせた部数は25年4月から半年で約1万部減っている。

公開されている直近の販売報告部数は一覧表の通り

福島県内の日刊紙販売報告部数 
市・郡別2025年10月(出典:日本ABC協会レポート)

合計福島民報福島民友朝日新聞読売新聞毎日新聞日経新聞産経新聞その他
福島県4052641923101320112987428454963296022611770
市部計3388221497461157622765325794872082422226679
郡部計66442425641624922212660912136038591
いわき市725232646725214824576122681164058777
福島市6820030236222725681527619071974568286
郡山市629122685920641539060501495206536250
会津若松市257551104293262240164255474218029
須賀川市159866046646214401397292282643
南相馬市149488687407955474044624011488
白河市14839652063599793353312525112
伊達市13982810644104984322082368210
喜多方市1282659244959894576225201443
二本松市1228374053285680453171217684
相馬市84663179370434278115114152116
本宮市817437573208545317170152241
田村市7928551818431651838910030
伊達郡9305531529963192471462234613
西白河郡790352631106186841173258706
石川郡73323723276125033476128591
田村郡6831462815162681729011938
大沼郡675849141188276193847528
東白川郡59073268193619028855129383
南会津郡5,829393014311591238977191
河沼郡4,86032891042233126498437
耶麻郡4,7143405821173148648320
双葉郡3,513221585113715332712133
岩瀬郡2251167544041905
相馬郡1,23993916130351323434
安達郡

販売報告部数とは、新聞の発行社が自らの媒体を自己報告した部数。日本ABC協会の公査員が裏付けして確認した部数は、一般に公開しているのとは別に会員専用の「公査レポート」にまとめられている。本誌は非会員のため、内情を正確に反映した部数は分からない。

2025年10月時点の県内の日刊紙の販売報告部数は次の通り。

福島民報 19万2310部

福島民友 13万2011部

朝日新聞 2万9874部

読売新聞 2万8454部

毎日新聞 9632部

日経新聞 9602部

産経新聞 2611部

その他 770部

「その他」は、宮城県を拠点とするブロック紙「河北新報」とみられる。

2025年4月から同10月の半年間での部数減少幅は次の通り。

福島民報 ▲3291部 (1・7%減)

福島民友 ▲3030部 (2・2%減)

朝日新聞 ▲374部 (1・2%減)

読売新聞 ▲1295部 (4・4%減)

毎日新聞 ▲335部 (3・4%減)

日経新聞 ▲362部 (3・6%減)

産経新聞 ▲123部 (4・5%減)

その他 ▲17部 (2・2%減)

2025年4月には、全国紙の中では最も部数が多かった読売新聞が3万部を切り、朝日新聞にその座を譲った。同年10月になると、朝日新聞も3万部を切り、読売新聞よりも1400部ほど多いに過ぎない。

全国紙、共同通信をはじめ東京に本社を置くメディアは、各都道府県の拠点を統廃合し、駐在記者を減らしている。地方はネットで「バズる」話題を探す場に成り下がり、どうしても内容が薄くなってしまう。

各社は自前のニュースサイトを充実させて有料読者の獲得を図るが、ネット黎明期から30年にわたり、全国民には「ネットの情報はタダ」との意識が染みついている。そのため、無料読者を制限するニュースサイトは敬遠され、存在しないものとして扱われる。結果、耳目を集める話題のみを全文転載するプラットフォーム「Yahoo!ニュース」にアクセスが集中し、「みんなYahoo!ニュースしか見ない」といった事態が都市部、地方を問わず生じている。




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