そえだ・ひでゆき 1956年3月生まれ。会津若松市出身。千葉県立君津高校卒。1974年に会津信金入庫。本店営業部長、常務理事、専務理事などを経て、昨年6月に理事長就任。
――昨年6月に理事長に就任しました。
「当信用金庫は、地域の皆様の繁栄と地域社会の発展を経営理念として、地域とともに歩んできました。星幹夫前理事長が掲げてきたお客様の声を聞き経営に生かす堅実経営に徹していきたいと思っています」
――物価高の影響で個人消費が低下していますが、管内の経済状況をどう見ていますか。
「業況のいい企業と、なかなか厳しい企業の二極化が進んでいると感じます。特に資材価格の高騰が大きな問題となり、若い世代の新築住宅購入はこれから厳しくなると感じます。物価高も進んでおり、すべてのものの値段が上がっています。米の価格が上昇したのは、会津地域にとってはいいことですが、飲食店などは厳しく業種によって影響は様々です。さらに、人材不足や資金繰り、後継者問題など、お客様によって課題も異なっています。私どもがやるべきはお客様の様々な課題に真摯に対応していくことに尽きます。特に当信用金庫は営業地域を会津地域に限定しています。文字通り『会津』は運命共同体です。会津地域が良くなるよう全役職員が心を一つに取り組んでいきたいと思います。そんな中、全国に254ある信用金庫のネットワークを生かした観光誘客に力を入れており、先日は東京都の足立成和信用金庫主催で裏磐梯に来ていただきました。様々な分野で信用金庫のネットワークを、お客様の売り上げ増加につなげられればと思っています」
――地域に根ざした金融機関としてどのような取り組みを行っていきますか。
「力を入れている事業の一つにDX支援『ケイエール』があります。まだITやDXが進んでいないお客様に対して、信金中央金庫とNTTが提携して行っているデジタルサービスです。インボイス制度に対応した適格請求書の発行などがワンストップで行えるのに加え、金融機関の口座残高や入金履歴を一括管理できます。これまでに100件以上の契約に至っています。
ビジネスマッチングにも力を入れており、東北地区信用金庫協会などが主催してビジネスマッチ東北が行われました。今年で19回目で東北各地から500社以上が参加する大きなイベントです。バイヤーも数多く参加しますから、会津のものを地域外に売り込む機会になったと思います。また、栃木県の鹿沼相互信金と共同で商談会を開催し、191件の商談が行われました。県内信金はもちろん、全国に広がる信金のネットワークを生かして会津地域の発展に少しでも寄与していきたいと考えています」
――今後の抱負。
「一昨年から企業倒産が増加しています。新型コロナウイルス関連の特例融資の返済が始まり、もともとあった分と、コロナ融資の返済が重なり、資金繰りが厳しいお客様が増加しています。加えて、先ほど話した資材価格高騰や人手不足、賃上げなど、本当に中小・零細企業を取り巻く環境は厳しさを増してきています。当信用金庫では専門家を交えながら、お客様の課題解決に向けて伴走していきたいと思います」