サイトアイコン 政経東北|多様化時代の福島を読み解く

【福島県浄化槽協会】紺野正雄会長インタビュー

【福島県浄化槽協会】紺野正雄会長インタビュー

 こんの・まさお 1951年生まれ。福島商業高卒。㈱A水技研代表取締役。今年6月、県浄化槽協会会長に就任した。

 ――新会長に就任しました。

 「就任にあたり3つの目標を掲げました。

 1つは合併浄化槽の普及促進です。県内は単独浄化槽とくみ取り式トイレが多く存在しており、汚水処理未普及の解消を図るうえでも、合併浄化槽の普及は必要不可欠です。国や県・市町村と連携し普及を促進していきたいと思っています。

 2つはデジタル化の推進です。他業界と比べ協会内のデジタル化は極めて遅れています。IT技術で業務効率化を図り、人手不足などの諸問題を解決できるように意識改革を促したいと思います。

 3つは後継者育成と浄化槽のイメージアップです。残念ながら『きれいな仕事ではない』というイメージがあるようで、会員企業からは『求人を出しても応募がない』などの声を多く耳にします。また、各企業が世代交代の時期を迎えている中で、『施工・保守点検・清掃の3業種の相互理解の醸成』の必要性も感じています。3業種の連携強化と次世代を見据えた取り組みを進めます」

 ――県内の現状について。

 「県内には約28万基の浄化槽が設置されており、そのうちトイレの汚水だけを処理する単独処理浄化槽が約15万基あります。単独処理浄化槽を合併処理浄化槽に転換することは全国的な課題となっています。転換する場合の各種補助制度は拡充しており、個人負担は軽減されます」

 ――国・県に望むことは。

 「当協会は浄化槽ユーザーである一般住民の負担軽減を最優先にしています。残念ながら県内では毎年のように大きな災害に見舞われていますが、浄化槽はインフラ設備でありながらその復旧費用は個人負担となっています。被災浄化槽へのフォロー対策やスピード感のある復旧対応の在り方を明確に示し、対応する市町村担当局や一般住民が困ることのないよう、リードしてほしいと思います。また、合併処理浄化槽が老朽化したり、度重なる地震などで破損するケースも増えています。最新型の浄化槽はコンパクト化・省エネ化が進み、ランニングコストの低減効果があります。更新に対する助成制度の創設、下水道と比較してやや高額となる維持管理費用の助成制度創設など、住民負担の軽減対策を積極的に進めてほしいです」

 ――今後の抱負を。

 「恒久的で重要な汚水処理インフラである『浄化槽』への認知度が極めて低いことに強い危機意識を持っています。まずは業界体質の変革が必要です。現代社会の変化スピードに対応できているとは言えず、相当遅れていると感じます。人手不足解消策としてIT技術の導入はもとより、施工から維持管理まで浄化槽に関わる関係者の人材育成や待遇の在り方も抜本的な見直しが急務です。これからの時代に即した企業体系にシフトできるよう意識改革を行いながら永続性を確保し、安定的な業界となるよう進化していきます」

福島県浄化槽協会のホームページ

モバイルバージョンを終了