石川中元講師「男子生徒に性加害」の実態

石川中元講師「男子生徒に性加害」の実態

 ジャニーズ事務所創業者による性加害に日本社会が注目している。かねてから被害告白はあったが、所属タレントを起用している大手マスコミは黙殺。海外メディアが報じ、元所属タレントが会見したことで無視できなくなった。少年たちへの性加害は芸能界だけではなく、福島県でも起こっていた。中学の男性音楽講師が男子児童・生徒40人余りに性的行為を強いて、一部が罪に問われている。

ジャニーズだけではない少年への性加害

 
 4人の男子児童・生徒に対する強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)に問われているのは石川中学校で音楽講師をしていた西舘成矩被告(40)。事件は昨年10月に被害生徒が別の教員に相談して発覚した。

 県教委が調査すると、男子児童・生徒少なくとも42人にわいせつな行為をしていた。同11月に懲戒免職となり、同12月に逮捕・起訴された。現在は保釈中で、福島地裁郡山支部で審理が続いている。今年6月に判決が下される予定だ。

 西舘被告は、県教委に「ふざける中で生徒との距離間がつかめなくなった。わいせつやセクハラは女子に対してやってはいけないという認識はあったが、男子にはなかった」と話したという(昨年11月26日付福島民友より)。

 西舘被告は、大学で社会科の教員免許を取得し、2007年4月から高校に社会科の講師として赴任していた。その後、大学に通い直し音楽の教員免許を取得。小中学校で音楽講師として働き始めた。罪に問われている性加害のうちで古いものは、20年10月、当時11歳の小学6年生男子Aに対するものだ。

 西舘被告は音楽の授業中や休み時間に、Aの性器を服の上から撫でていた。欲求はエスカレートし、放課後、ピアノの練習中に音楽室で2人きりになった際にズボンとパンツを引き下ろし、性器を触った。インターネットで見つけた、自慰行為を教えるウェブサイトをAに見せて、やり方を教えるのを口実にしていたという。わいせつ行為はスマートフォンで撮影していた。Aは戸惑い、言葉を失った。親にも打ち明けられなかった。

 西舘被告は「Aと同じように親や他の教員には言わないだろう」と考え、さらに別の子どもたちに手を掛けた。21年4月に石川中に赴任。音楽の授業や休み時間には「冗談半分」で男子生徒たちの性器を衣服の上から触った。罪に問われているだけでも、22年7~10月に少なくとも3人の男子生徒の性器を触るわいせつ行為をしている。犯行場所はいずれも音楽準備室で、やはりスマートフォンで動画に収めていた。 

 男子生徒Bには、片付けを手伝うように言って2人きりにした。「自慰行為はしたことはあるか」「陰毛は生えたか」。Bに迫り、ズボンとパンツを下ろさせて触る行為に及んだ。撮影した動画は自宅で再視聴し、西舘被告自身の自慰行為に使った。

動画拡散を恐れる被害者・保護者

【動画拡散を恐れる被害者・保護者】男子生徒たちへの性加害が行われていた石川中学校。西舘被告は、音楽準備室で2人きりの状況をつくって犯行に及び、被害者には口止めをしていた。
男子生徒たちへの性加害が行われていた石川中学校。西舘被告は、音楽準備室で2人きりの状況をつくって犯行に及び、被害者には口止めをしていた。

 性加害と動画撮影は不可分だ。元交際相手に復讐するために拡散する「リベンジポルノ」や売買目的でサイト、アプリを通じてネットにアップするなど目的はさまざま。一度ネットに流出してしまえば全世界に広がり、完全に消すことはできない。被害者、いや加害者の意図すら離れて流出・転売され、被害者は生きた心地がしない。犯罪組織の収益源となっているケースもある。そこでは子どもの性的虐待映像も取り引きされている。

 「ネットに拡散してしまった動画は回収不可能と知りました。まさか自分の息子が被害者になり、動画を撮影されていたことに驚愕しています。息子の一生のトラウマになるのではと不安です」(検察官が読み上げたある生徒の保護者の供述調書)

 西舘被告は供述で、子どもたちへの犯行を繰り返した理由をこう話している。

 「自分を慕っていて、かわいらしく愛嬌があった。じゃれあうつもりで、嫌がる様子は見えなかった」

 一方で「誰にも言わないでね」と口止めしていた。

 性犯罪を繰り返す人間には認知のゆがみや依存症の傾向があり、更生には治療的プロセスが不可欠だ。西舘被告は保釈後に石川町内の実家に帰り、依存症解消のプログラムに通っている。県教委や検察の取り調べに対し「もう教壇には立たない」と表明。現在は実家の寺の業務を手伝っている。

 6月9日午後1時半から地裁郡山支部で開かれる審理では、検察側の論告求刑、弁護側の最終弁論が行われ、結審する予定。複数の被害者とは示談が成立している。次回の裁判には寺の総代会長が弁護側の証人として出廷し、情状酌量を求める。保護者だけでなく檀家も注目する事件だ。判決は、次回の審理が順調に進めば、同20日午後1時に言い渡される予定。

 冒頭で述べたように、西舘被告は県教委に「わいせつやセクハラは女子にはやっていけないという意識はあったが男子にはなかった」と説明していた。誰に対しても許されることではない。歪んだ考えだ。

 今回の事件では、男女の身体的性差が明確に分かれる、第二次性徴の過程にある子どもを性の対象と捉え、教師の立場を悪用して犯行に及んだ点を厳しく問わなければならない。この点は、ジャニーズ事務所で絶大な権力を誇った創業者の故・ジャニー喜多川氏と共通している。

 密室が用意できた点もジャニーズの事件と同様、性加害行為を覆い隠した。ジャニー喜多川氏はそのための高級ホテルを契約していた。音楽講師だった西舘被告は石川中で、音楽室と準備室という自分が管理する場所を持ち、いずれもそこで犯行に及んでいた。

 授業の準備の手伝いという名目なら生徒にも同僚にも怪しまれない。中学では国語や数学などの教員は複数いるが、音楽の教員は1校に付き1人だ。他の担当科目を持つ教員とは別に、自室を持っていることが多い。異変を察知するために、教員たちはクラス担任や担当教科の垣根を越えてコミュニケーションを活発にする必要がある。教員から児童・生徒への虐待行為だけでなく、同僚教員がハラスメント被害を受けているかどうかも発見できるだろう。

 西舘被告による性加害は、教えていた小学校で2020年には始まっていた。被害を受けた子どもが自ら周囲の大人に打ち明けるのは困難だ。西舘被告を受け入れた学校では周囲の教員に異変を察する力が求められていたが、被害を防ぐことはできなかった。

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