ボンズアリーナ」。Bリーグ「福島ファイヤーボンズ」の本拠地で、SVリーグ「デンソーエアリービーズ」のホームゲームも開催される。バスケットボールとバレーボールの国内トップリーグに参戦する両チームの本拠地として、最初の1年を終えたわけだが、同アリーナの初年度実績はどうだったのか。
バスケ・バレーのプロチームが生んだ熱狂と波及効果

郡山総合体育館は市が所有する体育館で、アリーナ化するため、2024年3月から2025年3月まで改修工事が実施された。これにより、観客席が5000席以上に増設されたほか、4面の大型ビジョンも設置された。
名称は命名権(ネーミングライツ)導入によって「宝来屋 ボンズアリーナ」となった。この名称からも分かるように、Bリーグ「福島ファイヤーボンズ」の本拠地として使われるほか、SVリーグ「デンソーエアリービーズ」のホームゲームも開催される。
言うなれば「市民体育館」から「プロ仕様」にグレードアップしたということだ。
Bリーグ、SVリーグは、ともに秋に開幕し、翌年春までリーグ戦が続く。最終的なシーズンチャンピオンを決めるポストシーズンまで勝ち残ると、5月ごろまでシーズンが続く。その間の土日はほぼ毎週のようにファイヤーボンズか、エアリービーズのどちらかがボンズアリーナで試合をするような状況。
いまはBリーグ、SVリーグともにシーズンアウトし、プロ仕様アリーナに生まれ変わってワンシーズンを終えた。そこで気になるのが、初年度の実績はどうだったのか、ということである。
可能性を感じた
市スポーツ振興課によると、「さまざまな面で大きな効果が見られ、さらなる可能性も感じた」という。
2025―2026シーズンは、ファイヤーボンズが28試合、エアリービーズが10試合をボンズアリーナで行った。
ファイヤーボンズの平均観客動員数は4375人で、それ以前の近年は1500〜2000人超だったから倍以上になった。特に同シーズンは序盤から連勝を重ね、チームが好調だった。やはり、チームが強ければ応援にも熱が入る。そうした事情も重なって、観客動員数が大幅増になったと思われる。
一方、エアリービーズの平均観客動員数は2285人で、昨シーズンは約800人だったから、こちらも大幅増となった。3月14日の試合では3194人が観戦し、チーム史上最高の観客動員数を記録した。
「まず、それだけの方に観戦に来ていただいたということが大きいですね。中には、少し遠くにクルマを止めて、会場(ボンズアリーナ)まで応援グッズを身に纏って歩いてくる人の姿もありました。その途中、クリームボックスで有名な大友パン店に寄ったり、飲食店で食事をしたり、という様子が見られ、こういった回遊がもっと広げられれば理想です」(市スポーツ振興課)
ボンズアリーナには専用の駐車場があるが、試合終了後に出庫する際は混雑が予想される。それを避けるため、少し離れたところにクルマを止めて、歩いてくる人もいるというのである。それが周遊を生み出している、と。もっとそういった事例を増やしていければ、さらなる波及効果が見込めるというのが市の見解。来シーズン以降はそのための仕掛けも必要になろう。
近隣飲食店の声
近隣の飲食店に話を聞くと、やはり試合開催時は客入りが違うという。
「普段の土日(試合が土日)と比べると、試合が行われる日のお客さんの数は全然違いますね。行列ができ、てんてこ舞いになるほど混雑します。うれしい悲鳴ですね」(近隣の飲食店主)
「試合がある日は、応援ユニフォームを着たお客さんなどで大混雑します。だいたい試合は午後からなので、それまでにどっとお客さんが来て、試合が始まる時間になったら、ピタッと客足が途絶える感じです。正直、忙し過ぎてうんざりすることもありますが、間違いなく波及効果はありますね。ありがたいです」(近隣のラーメン店主)
こうして聞いただけも、波及効果の大きさがうかがえるが、それだけではない。
地元中高生への影響
市スポーツ振興課の担当者はこう話す。
「バスケ、バレーに共通している部分で言うと、試合では地元中学校・高校などのバスケ部、バレー部の部員がボランティアとして携わります。ボールボーイ・ガールと言うんですかね、そういった形だったり、試合前練習の補助だったり。間近でトップ選手たちのプレーが見られるのは中高生にとって貴重な経験になると思います」
また、エアリービーズは定期的にバレーボール教室を開催しており、「市は後援という形で参加していますが、市単独ではとても呼べないような方をコーチに招いていただき、そういった方の指導を受けられるのも大きな経験になると思います」(市スポーツ振興課)という。
さらに市スポーツ振興課の担当者はこう続ける。
「試合のハーフタイム、セット間に、あさか開成高校のフラダンス部や、尚志高校のよさこい部などにパフォーマンスを披露してもらいました。何千人ものお客さんの前で、普段の練習の成果を披露する場にもなりますし、県外から来た人がそれを見て盛り上がっている姿を見ると、彼・彼女たちのパフォーマンスは、よそに誇れるものなんだと、われわれも再認識しました」
そのほか、安積高校新聞委員会、安積黎明高校新聞委員会、郡山東高校新聞部の合同で、「エアリー新聞」というものを発行した。名前から連想できるように、エアリービーズに関する新聞だ。試合を観戦して、その模様を詳報したり、監督・選手のインタビューなどで紙面が構成されている。ほかにも「論説」があったり、椎根健雄市長にインタビューしたりとかなり本格的な作り。そういった経験ができる場にもなっているということだ。
こうしたさまざまな面から、市スポーツ振興課の担当者は「大きな効果が見られ、さらなる可能性も感じた」と評したのである。
今後の展望

エアリービーズは来年7月完成を目指して、郡山市に練習拠点を整備している。それが完成すれば、選手たちは郡山市に移り住み、より身近な存在になっていくに違いない。ボンズアリーナでのホームゲームも、2025―2026シーズンの10試合から倍近くに増える。2025―2026シーズンはプレーオフに進出できなかったが、郡山市に腰を据えれば、もっと力が出せるはず。
一方、ファイヤーボンズは2025―2026シーズンは、「B2」での戦いだった。
従来のBリーグは、B1、B2、B3の3部制で、成績によって昇格・降格していた。ファイヤーボンズは、2025―2026シーズンはB2で総合2位という成績だったが、Bリーグが2026―2027シーズンから大規模再編されることに伴い、来シーズンのB1昇格はない。
2026―2027シーズンからはBプレミア、Bワン、Bネクストに再編される。新制度では、売上、観客数、アリーナ規模、財務健全性、地域性などが考慮され、それらの条件を満たさないと上位リーグに入れない。要するに、強いだけではダメで経営力・集客力も必要になるということだ。
その点で言うと、ファイヤーボンズはアリーナの規模は問題ない。観客動員数は4000人以上が条件になり、単年度ではその基準をクリアした。あとはこれを続けていくことが必要になる。
ファイヤーボンズは、2026―2027シーズンはBワンに参戦し、2029―2030シーズンのBプレミア参入を目指している。地域一体となって、上位リーグへの参入、成績だけでなく経営面も含めて強豪チームへと成長させていく過程にあるということだ。2025―2026シーズンは、そのための最初の1年ということなり、ボンズアリーナの初年度と合わせて、上々のスタートを切ったと言っていい。

























