郡山市南東部の郊外に位置する田村地区は、産業廃棄物最終処分場が集中する問題に頭を悩ませている(本誌5月号参照)。新規の建設に反対する住民たちは「十分な説明がない」と事業者に憤るが、矛先は市に向かないとは限らない。それを案じているのか、椎根健雄市長は最終処分場の設置許可要件見直しなどを求めるため霞が関を訪ねて担当者に直接要望。椎根市長がこうした動きを見せるのは初めてで、住民は「見える取り組み」を評価する。
昨年4月27日に就任し、1年を迎えた椎根市長が初めて要望に赴いた国の機関は環境省だった。市内の田村地区に最終処分場が集中し、住民や事業者が不利益を感じている問題の根幹には法制度の不備があると考え、国に見直しを求めるためだ。今年3月に市議会は国に向けて同じ趣旨の意見書を可決した。
5月20日に同省を訪れた椎根市長は、角倉一郎環境再生・資源循環局長に要望書を手渡した。次の点を求めた。
⑴過度な集中を避けるための総量規制等について
産業廃棄物の最終処分場の過度な集中を避け、適正配置を実現するため、「埋立ての総容量」の基準設定など、集中立地を防止するための方策を検討し、法制度化すること。 ⑵住民説明会等の義務化について
早い段階から住民との十分なコミュニケーションを図ること及び事業者による「住民説明会の開催」や住民からの「質疑に対する応答」などを義務化し許可要件の一つとす るなど、地域住民が事業者から丁寧な説明を受け、事業について正しい知識を得て、住民の意見がより適切に反映される仕組みを法制度化すること。
要望には、椎根市長の他、齊藤紀明副市長と地元選出の根本拓衆院議員、折笠正市議が同行した。
田村地区では、3カ所目となる最終処分場が大手産廃処理業者ミダックホールディングス(静岡県浜松市)により計画されている。同地区は首都圏からのアクセスが良く、過疎化が進み、まとまった土地が確保できる山間地のため、事業者は好適地と期待している。
現在、ある事業者が山林を買う動きがあり、水面下では4カ所目の処分場計画が進められているという。地元の環境保護団体「河川谷田川の水と命を守る会」の会長、力丸庄司さんは、椎根市長の初の直接要望を次のように受け止める。
「5月23日の福島民報郡山版に環境省に要望したことが載っていました。市のごみ減量推進課からも報告を受け、一定の評価をしています。ただ、これで終わりではありません。私たちは、市内三穂田地区で2006年に事業者が処分場建設を中止するという住民側に有利な和解で終わった裁判を研究しています。自分たちの活動に生かして、これ以上田村地区に処分場を増やさないようにしたい」
新人4人が立候補した昨年の市長選の際、ある選挙関係者はこう述べていた。
「私だったら田村の最終処分場集中問題を争点化するね。住民の不満は思っている以上に大きい」
田村地区への目くばせが、欠かせない。

























