【学校法人昌平黌】創立120周年「人間力育成」誓い新たに

【学校法人昌平黌】創立120周年「人間力育成」誓い新たに

 東日本国際大学いわき短期大学等を運営する学校法人昌平黌(いわき市、緑川浩司理事長)は6月22日、いわき芸術文化交流館・アリオス大ホールで学校法人昌平黌創立120周年記念式典を執り行った。

 来賓、関係者、学生を合わせ約1730人が出席し、これまでの同法人の歴史を振り返りながら、孔子哲学に基づく「人間力育成」のさらなる発展に向けて、誓いを新たにした。

 記念式典では、プロローグとして同大と同附属昌平中・高合同吹奏楽部による迫力あふれる演奏が披露された後、緑川理事長が「創立120周年を機に、建学の精神を実践する徳のある人材を育成する。地元いわき市と密接に関わり合いながら、人間教育の拠点として地域の信頼を得ることが本学園の発展につながる。いわき市から人間教育の新たな歴史を刻んでいく」と式辞を述べた。

 永年勤続職員表彰に続き、来賓の文部科学大臣代理の伯井美徳文部科学審議官、内田広之いわき市長が祝辞を述べ、来賓紹介、祝電披露が行われた。

 引き続き、創立120周年記念講演会が催された。

 まず、福原紀彦日本私立学校振興・共済事業団理事長が「新しい時代の学びと人材育成~文理融合と文武両道~」という演題で講演した。

 福原氏は①歴史は過去と現在との対話、②人は何のために学ぶのか、③日本の近代化と現代化に果たした世界的に誇る学校制度と私学の役割、④資本化、グローバル化、デジタル化などいわゆる新時代の三大潮流と難局の克服――をテーマに、ユーモアを交えながら解説。

 マニュアル型の知識獲得から社会貢献に基づく「志」を伴う知恵・知性の修得をはじめ、文系・理系の分化・分断ではなく文理融合教育の重要性や学問とスポーツとの両道・連携の必要性を説いた。

 続いて、黒住真・東京大学名誉教授が「日本の思想史からの孔子『論語』と今後への課題」というテーマで講演を行った。

 黒住氏はまず「古代、中世、近世、近代、現代における思想概念と社会的変化」について説明。そのうえで孔子「論語」の歴史を紐解きながら、「枢軸時代や紀元前後の動き」、「中世における完成形態」、「近世における普及」、「明治維新後における中村正直や渋沢栄一らの『論語』への造詣」についてそれぞれ解説した。

 結びに、経済問題が環境問題とつながった現在、「論語」を再評価する意義について力説した。

 当日は、記念式典に先立ち、東日本国際大学1号館の「大成殿」で大成至聖先師孔子祭が開催された。

 同法人では、「論語」の一節にある「義を行い以て其の道に達す」を建学の精神として掲げており、学生が「論語」に親しみ、孔子を敬い、その教えをあらためて見つめ直す機会として孔子祭を執り行っている。今年で35回目。

【学校法人昌平黌】記念式典の様子
記念式典の様子

 法人役員や来賓をはじめ、学生、教室などオンラインで結んだ約1800人が列席。神事が行われ、齋主祝詞奏上の後、緑川理事長、吉村作治総長、緑川明美常務理事ら関係者が玉串をささげた。緑川理事長は祭主あいさつにおいて「建学の精神は本学の根幹をなすもの。人間教育を実践してきた120年の歩みを改めて確認し、一層の人間力向上を図りながら地域社会の発展に貢献していく」と決意を新たにした。

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