浪江津島裁判が和解協議へ高齢化で「早期決着」を望む声

浪江町津島地区の住民が国・東電を相手取り、同地区の原状回復などを求めている裁判で、原告団は5月31日に二本松市で総会を開いた。定例総会として、活動報告、予算報告などが行われた後、非公開で裁判所から和解勧告があった件についての協議・説明が行われた。

浪江町津島地区は、町北西部に位置し、計画的避難区域、帰還困難区域に指定された。

2015年5月、「福島原発事故津島被害者原告団」(今野秀則団長)を結成し、同地区の原状回復などを求める集団訴訟を起こすことを決めた。同年9月に第一陣として32世帯116人が地裁郡山支部に提訴し、以降、二陣、三陣と順次原告が増え、約630人の原告団となった。

原発事故の被害者が国・東電の責任を追及する集団訴訟は多数あるが、津島地区の場合は2つ大きな特徴がある。

1つは、原告を同地区の住民に限定し、「帰還困難区域の対象住民のみの集団訴訟」となったこと。

もう1つは、ほかの多くの集団訴訟は賠償請求が主たる目的だが、津島地区の集団訴訟は賠償請求もしているものの、それよりも放射線量を低減させる義務があることを認めさせ、その実行を求めるのが主たる目的であること。

一審裁判は2016年5月から行われ、2021年7月に判決が言い渡された。一審判決では、国と東電の責任を認め、国・東電が連帯して総額約10億円の慰謝料支払いを命じた。一方で、この裁判の主たる目的である「原状回復請求」については棄却された。

この判決を受け、弁護団は「原発事故の責任が国にあることは認めさせた。原状回復請求についても、除染させる道理はあり、その権利を有していることは否定されていない。これは前進であり、控訴審ではその部分を突き詰めていきたい」と明かした。

一方、今野団長は「原状回復が認められなかったことは残念。このままでは引き下がれない。ただ、国と東電の責任が認められ、今後の戦いの足がかりになると思っています」と話した。

一審判決が出された直後から、控訴する意向を示しており、この言葉通り、2022年9月から舞台を仙台高裁に移して審理が続けられ、今年3月9日に結審した。10月16日に判決が言い渡されることが決まった一方で、裁判所からは和解勧告する旨の言及があった。

そのため、5月31日に行われた総会で和解勧告があった件についての協議・説明が行われたのである。

原告団関係者はこう話す。

「裁判所から和解勧告する旨の言及があり、当然、原告団役員だけで決められるものではないため、その説明や和解とはどんなものかといった話をしました。具体的な内容等々についてはこれからです」

この関係者によると、原告団メンバーからは「10年以上、裁判で戦って、その間にわれわれも高齢になった。早期決着を望む」といった意見が出たという。原告団メンバーが県内外散り散りで生活している中、今後は県内5カ所で原告団メンバーの意見を聞く場を設け、和解協議の方向性を決めていく方針。

原発事故の被害者が国・東電を相手取った集団訴訟は多数あるが、最高裁で東電の賠償責任を認める判例が出て以降は和解の動きが加速している。津島地区のケースは原状回復を求めていることもあり、少し事情が違うものの、和解は成立するのか等々を含め、今後どのような決着を迎えるのかが注目される。

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