【田村市】産業団地「予測不能の岩量」で工事費増

【田村市】産業団地「予測不能の岩量」で工事費増

 先月号に田村市常葉町で整備が進む東部産業団地の敷地から高さ十数㍍の巨岩が出土した、という記事を載せたが、その中で本誌は「工事の進め方の順序が逆」と指摘した。同団地の工事費は当初45億9800万円。それが昨年3月定例会で61億1600万円に増え、同12月定例会で64億6000万円に増えた。

 普通、工事費が増額される場合は見積もりをして、いくら増えると分かってから市が議会に契約変更の議案を提出。議案が議決されれば市は施工業者と変更契約を交わし、市は増額分の予算を執行、業者は増額分の工事に着手する。

 しかし市内の土木業界関係者によると、61億1600万円から64億6000万円に増額された際はこの順序を踏んでいなかったという。この関係者いわく、12月定例会の時点で造成工事はほぼ終わっており、その結果、工事費が61億円から64億円に増えたため、あとから市が契約変更の議案を提出したというのだ。

 「公共工事の進め方としては順序が逆。もしかすると岩の数量が不確定で工事費を算出できず、いったん仮契約を結んだあと、工事費が確定してから契約変更を議決したのかもしれないが、巨大工事を秘密裏に進めているようで解せない」(土木業界関係者)

 自治体政策が専門の今井照・地方自治総合研究所特任研究員によると、契約変更の議決を経ずに施工するのは違法行為に当たるが、罰則はないという。

 「契約で工事費が61億円となっているのに、議会で契約変更を議決する前に64億円の工事をしていたらアウトです。一方、見積もりをしたら64億円になることが分かったというなら、まだ施工していないのでセーフです」(今井氏)

 先月号では締め切りの都合で市商工課と施工する富士工業(田村市、猪狩恭典社長)からコメントを得られなかったが、昨年末、両者から回答があった。

 「12月定例会の時点で造成工事の進捗率は約95%だった。増額分(約3億円)に該当する硬岩の掘削工事は完了している。工事費が約3億円増額になると知ったのは、不確定部分だった掘削土量に対する硬岩の割合について業者から9月中旬に精査した数量が提出され、その数字をチェックし積算した結果、硬岩の割合が5%から6%に増え、約3億円増額することが判明した。工事の進め方については、掘削工事を予定工期内に完了させることを最優先とし、誘致企業も決まっていたことから、早期完了のため掘削工事を止めることはしなかった」(市商工課)

 「岩が土中にどれくらいあるかは予測するしかないが、実際に計算すると増減が出てしまうのはやむを得ない。本来は概算数量を出してから契約すべきだが、岩の量を把握できず概算数量が出せなかった。岩掘削の数量が確定したのは9月中旬で、61億円から64億円への増額は12月定例会で議決されたが、市とは11月1日に『12月定例会で議決後に本契約とする』という内容の仮契約を結んだ」(富士工業の猪狩社長)

 両者のコメントからは、岩の数量を把握するのが難しかったため、まずは工事を進めることを優先させ、数量が確定してから工事費を算出せざるを得なかった事情がうかがえる。

 工事の進め方の順序が逆になったのは仕方なかったのかもしれない。しかし、もともと大量の岩が出ることが予想された場所に産業団地を整備すると決めた時点で、こうなることは予想できたのではないか(※決めたのは本田仁一前市長)。猪狩社長は「あそこ以外の適地は簡単には見つからない」などと市を擁護していたが、それとは逆に「なぜ、あんな辺ぴな場所に?」と首をかしげる市民は今も多い。

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