『政経東北』1月号に「修明高校でいじめ重大事態発生」という記事を掲載した。棚倉町の県立修明高校(阿部拓広校長)に通う男子生徒が同級生から日常的に暴言を吐かれ、フラッシュバックや抑うつ症状、睡眠障害といった心的外傷後の二次障害に悩まされ、登校を見合わせていたことが分かった。
同校や県教育委員会に確認したところノーコメントだったが、いじめ被害生徒の保護者は「いじめ重大事態」と認められたことを明かした。いじめ重大事態とは深刻ないじめのことで、学校の設置者(教育委員会)、もしくは学校が判断する。発生した場合(児童生徒や保護者からの申し立ても含む)、速やかに組織を設置し報告・調査に当たること――といじめ防止対策推進法で定められている。
記事では、いじめの詳細のほか、いじめ加害生徒が「大声で独り言を言っただけ」と開き直るのを学校側が真に受けて、喧嘩両成敗のような対応に終始したこと、県教委も機械的な対応だったことなどをリポートした。
いじめ被害生徒の保護者によると、同校に精神科医による診断書を提出したが、その後も合理的配慮がなされず、加害生徒と同じ教室での学習を強いられたという。昨年末には被害生徒の保護者と弁護士が同校を訪ね、通学を再開できるように配慮や対応を求めたが、「阿部校長が不誠実な回答に終始し、被害生徒側は呆れていたと聞いています。同時期に同校の講師が逮捕されるなどいろいろあったので、阿部校長も心ここにあらずという状況だったのかもしれません」(被害生徒の家族から相談を受ける男性)。
同校の講師が逮捕された件について、昨年12月10日付の福島民報は次のように報じている。
《未成年の女性にわいせつな行為をしたとして、郡山署は9日午後1時15分ごろ、不同意性交等の疑いで白河市大信下小屋字西宿、修明高常勤講師の金子智哉容疑者(28)を逮捕した。同署によると、容疑を否認しているという。
調べでは、金子容疑者は4月下旬ごろ、郡山市のスポーツ施設駐車場で、自身が所有する車の中で10代女性にわいせつな行為をした疑い。
県教委によると、金子容疑者は2021(令和3)年度に常勤講師となった。郡山萌世高での勤務を経て、今年4月に修明高に赴任し、理科を担当していた》
地検郡山支部は昨年12月27日、金子容疑者を不同意性交等罪で起訴した。同校ではいじめ重大事態が起きている一方で、教員による不祥事も発生していたわけ。
同校の同窓会に所属する男性はこのように話す。
「『政経東北』の新聞広告が載った日、学校関係者の間で大騒ぎになり、書店に駆け込んだ人も多かった。教員が不祥事により逮捕され、いじめ重大事態も発生していたとなれば当然『学校内のガバナンスや指導体制はどうなっていたのか』という話になる。高校入試を控える時期ということもあって、記事を読んで『修明高校を受けるのはやめよう』と考えた受験生・保護者もいたでしょう。そういう意味で記事が与えた影響は大きかったと思います」
いじめ重大事態の発生に伴い、今後県教委が第三者委員会を設立し、調査が行われる見通し。学校や県教委の対応も含め、検証が行われることになる。引き続き今後の展開を注視していきたい。
