今年は7月に参院選が予定されている。福島選挙区(定員1)は昨年末時点で、元法務大臣で弁護士の自民党・森雅子氏(60)=3期=と元衆院議員で福島市議の立憲民主党・石原洋三郎氏(51)が立候補の意思を示しており、他にも立候補者が現れるとみられる。
自民党県連は昨年6月に森氏を公認候補として党本部に申請することを決定し、党本部は同7月に森氏を第一次公認候補とすることを発表した。しかし、前回の参院選(2019年)では県連内から「森氏は県連や党支部と連携する姿勢が不十分」と不満が噴出、党本部が18年7月に発表した第一次公認候補に間に合わなかった経緯がある。一部県議の間では16年の参院選で落選した元法務大臣の岩城光英氏を擁立しようとする異例の動きまでみられた。
そう考えると今回、県連は党本部にすんなり公認申請したので森氏への不満は薄まったのかと思いきや、「とんでもない。相変わらず不満だらけ」と話すのは県連関係者だ。
「過去3回選挙を勝ち切っている以上、本人が出たいと言えば特段問題がない限り反対する理由は見つからない。というわけで、県連としても森氏を公認申請するしかなかった」
だが、こうも言う。
「県議の多くは派閥の裏金問題をめぐり、森氏が説明責任を果たしていないと感じている」
安倍派(清和政策研究会)に所属していた森氏は、昨年3月に開いた会見で2023年度までの5年間に計282万円の還流があったことを認め、謝罪している。今後開かれる予定の参議院政治倫理審査会にも出席する意向を示し「批判は真摯に受け止め、国民に説明責任を果たす」と述べている。
説明責任を十分に果たさないと昨年10月の衆院選同様、公認されたあとに党本部から非公認とされる可能性もあるため「政治倫理審査会に出席することで〝みそぎ〟とし、確実に公認を得ようという算段」と県連関係者は森氏の胸の内を暴露する。
森氏が慌てているのは、3期18年を終えようとしている今になって、伊達市など各地で後援会の設立に動いていることからも分かる。
さらにここに来て、政治倫理審査会に出席予定の27人中、非公開を求めているのが23人、幹事会に対応を一任するとしているのが2人、公開で臨むとしているのが2人であることが判明。与野党から「非公開では国民に説明責任を果たせない」と批判が噴出している。森氏は幹事会に対応を一任するとしたため、公開の場(12月18日開催の政治倫理審査会)で弁面したが、その内容を聞いて「納得できた」と考える県議はほとんどおらず、〝みそぎ〟を済ませたことにはならないようだ。
とはいえ県連はそう思っても、党本部は今回の弁明で「説明責任を果たした」と認定する可能性がある。そうなれば、森氏が非公認とされることはなく、県連が望む候補者差し替えは幻に終わることになる。
ちなみに、森氏に代わる新たな候補者は誰かというと、以前から取り沙汰されている太田光秋県議(56)=南相馬市・相馬郡飯舘村選挙区、7期=は「票の少ない南相馬市から立候補しても厳しい」と頑なに拒んでいる。代わって名前が挙がるのが西山尚利県議会議長(59)=福島市選挙区、5期=だ。
「今秋には(慣例で2年交代の)議長職を終えるので、参院議員に転身するには良いタイミング。現職議長という点も、売り出すには好材料です」(ある党員)
森氏のように、身内からここまで不人気な議員も珍しい。それだけ反省すべき言動や振る舞いが多いということだろう。