大規模調査で見えた復興住宅の姿

 社会福祉法人福島県社会福祉協議会(北村清士会長)は、震災・原発事故の避難元市町村と避難先市町村の社会福祉協議会と協力して、県内の復興公営住宅全4767戸を対象に昨年7~9月にかけて実態調査を行い、今年3月に結果(令和5年度福島県復興公営住宅入居者実態調査研究事業報告書)を公表した。

現在の復興公営住宅に住み続ける見込みである→44・9%

 調査の背景には、第2期復興・創生期間(2021~25年度)が終了する前に復興公営住宅の入居者の姿を把握することで、今後の支援のあり方を検討する狙いがある。

 報告書によると復興公営住宅の単身世帯(一人暮らし)の割合は42・9%。2020年の国勢調査では、福島県の単身世帯は33・1%、全国は38・0%なので、復興公営住宅の単身世帯の割合は非常に高いことが分かる。一方、入居する単身者の70歳以上の割合は51・8%。2023年12月1日現在の福島県の高齢化率(65歳以上)は33・4%、全国は29・2%なので、復興公営住宅の入居者は一人暮らしの高齢者が多い実態が浮かび上がる。

 入居者の生活状況はどうなっているのか、報告書から主な質問と回答を見ていく(無回答の割合は省略)。

 Q日常生活に支障が出るほどのストレスがある

 ある 7・8%
 ない 60・8%
 不明 29・6%

 6割の人が大きなストレスを感じずに日常生活を送っているが、ストレスを感じている人も1割未満存在する。気になるのは不明と答えている人が3割に上ることで、実際はストレスを感じているのにストレスと認識できていない人が多い可能性がある。

 Qアルコール摂取が適切(量・時間・場所)である

 ある 64・7%
 ない 1・0%
 不明 32・4%

 Q引きこもりや閉じこもりがある

 ある 4・2%
 ない 70・7%
 不明 23・3%

 アルコール依存や引きこもりがクローズアップされがちな復興公営住宅だが、6~7割の人は問題なさそう。ただし、ここでも不明と答えた人が2~3割おり、アルコール依存や引きこもりと自覚していない人が一定数いるものとみられる。

 Q世帯員の中に近隣住民との関わりのない人がいる

 ある 6・1%
 ない 64・8%
 不明 27・2%

 近隣住民との関わりを持てず、孤立している人が1割未満いる。

 Q就労収入がある

 ある 29・6%
 ない 47・5%
 不明 21・1%

 就労収入がないということは、年金暮らしの高齢者が多く、働き盛りの人が少ないことを物語る。

 Q現在の復興公営住宅に住み続ける見込みである

 ある 44・9%
 ない 4・5%
 不明 48・8%

 復興公営住宅を「終の棲家」にしようと考える人(高齢者)が4割以上いるのに対し、今後どうすればいいか分からないと悩む人も5割近くいる。明確に退去を考えている人は思いのほか少なかった。

 調査のアドバイザーを務めた東北福祉大学総合福祉学部の佐藤英仁准教授は「県内の復興公営住宅全4767戸を対象とした調査は過去に例がなく、入居者の正確な意識を把握できる点で学術的価値が高い」と評価している。今回の結果が今後の復興公営住宅の支援にどう役立てられるのか注目される。

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