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東電「請求書誤発送」に辟易する住民

東電「請求書誤発送」に辟易する住民

 東京電力は6月1日、「請求書の誤発送について」というリリースを発表した。文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が昨年12月に策定した「中間指針第5次追補」に基づく追加賠償について、請求書約1000通を誤った住所に送付したことが判明したため、発表したもの。請求書には、請求者の個人情報(氏名、生年月日、連絡先、振込口座番号)などが含まれていたという。

 その翌日(6月2日)には「ダイレクトメールの誤発送について」というリリースが出された。それによると、追加賠償の請求案内のダイレクトメール約2600通を誤った住所に発送した可能性があるという。なお、ダイレクトメールには個人情報は含まれていない、としている。

 こうした事態を受け、東電は関連書類の発送をいったん停止し、発送先や手順などについての点検を実施した。

 そのうえで、6月22日に「請求書およびダイレクトメールの誤発送に関する原因と対策について」というリリースを発表した。

 それによると、請求書の誤発送は、コールセンターや相談窓口などでの待ち時間を改善(短縮)するため、内部の処理システムを簡素化したことが原因という。

 ダイレクトメールの誤発送は、請求者のデータと同社システムに登録されたデータの突合作業に当たり、専用プログラムを用いているが、一部のデータがそのプログラムで合致しなかったため、複数人による目視での突合作業を実施した際にミスが起きた、としている。

 このほか、同リリースには、誤って発送した請求書、ダイレクトメールの回収に努めていること、これまで普通郵便で発送していた請求書を簡易書留で発送するようにしたこと、ダイレクトメールの発送を取り止め、7月下旬から10月をメドに、順次請求書を送付すること――等々が記されている。

 これにより、追加賠償の受付・支払いが遅れることになる。さらには、誤発送の対象者から請求があった場合、誤発送によって受け取った人からの「なりすまし請求」である可能性が出てくる。そのため、本人確認を徹底しなければならず、その点でも誤発送の対象者は、面倒な手続きを求められたり、支払いが遅れるなどの影響が出てきそうだ。

 一連の問題について、双葉郡から県外に避難している住民は、こんな見解を述べた。

 「今回の件で分かったことは、東京電力を信用していいのか、ということです。これだけ立て続けにミスが発覚するんですから。これから、ALPS処理水の海洋放出が行われますが、そんなところに海洋放出を任せて大丈夫かという思いは拭えません。もう1つは、もし海洋放出によって風評被害などが発生し、さらなる追加賠償が実施されることになったとして、その際も今回のようなお粗末なミスが起きるのではないか、と思ってしまいます」

 今回の誤発送で、賠償受付・支払いが遅れること以外に、個人情報流出などによって対象者に直接的な被害が出たという話は聞かないが、原発被災者にとってもともと低い東電の信用がさらに落ちたのは間違いなかろう。

 以前と比べると、賠償関連の人員などが削減された中で、今回の追加賠償は対象が多いため、対応が追いついていないといった事情があるのだろうが、これから大事(海洋放出)を控える中での凡ミスは、いかにも印象が悪い。

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